「タンカレー」ジンとは|歴史や製法、味について徹底解説!

「タンカレー」ジンとは|歴史や製法、味について徹底解説!

丸みがありキュートなボトルが特徴の「タンカレー」は、世界中にファンのいる有名なジンです。

Barシーンにも欠かせないジンで、タンカレーで作るマティーニは、繊細でキレのある味に仕上がります。

そんなクールな「タンカレー」は、いつ・どのようにして生まれたのでしょうか。

今回は「タンカレー」のキレのある味わいを生み出す製法や歴史について紹介します。

「タンカレーNo.10」「マラッカジン」についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

「タンカレー」とは

タンカレーの各種ボトル
Tanqueray

「タンカレー」は、イギリス産のロンドン ドライジンで、キレのあるすっきりした味わいが特徴です。

代表銘柄Tanqueray London Dry Gin/Tanqueray No.10 Gin
原産国イギリス
製造元ディアジオ社
蒸留所キャメロンブリッジ蒸留所(Cameron Bridge Distillery)
ボタニカル非公開 ※主要4種のみ公開

30秒で読める!「タンカレー」の特徴5つ

「タンカレー」の特徴は、以下の5つです。

  • ドライですっきり!4回蒸留が生み出すキレのある味わい
  • ボトルモチーフはカクテルシェーカー
  • 創業者のチャールズ・タンカレーは家業の聖職者を拒み、ジンづくり開始
  • 詳細レシピは門外不出で、知る人は世界にたった6人
  • 「タンカレーNo.10」は世界初のフレッシュボタニカルを使用

次章から詳しく解説します。

「タンカレー」の味

「タンカレー」は4回蒸留で造られる、キレのある味わいが特徴です。

まむ

ハーブのような風味で、とても爽やか!

そのままストレートで味わうのはもちろん、ドライマティーニや、爽快感たっぷりのジントニックにして楽しむのがおすすめです。

デザインと名前の由来

カクテルシェーカー

ブランド名「タンカレー」は創業者の名前が由来で、ボトルデザインのモチーフは「カクテルシェーカー」です。

まむ

「消火栓」と勘違いされがちですが、「カクテルシェーカー」です!

リリースされて以降、「タンカレー」はさまざまなボトルで販売されていましたが、現在の緑色のボトルデザインされたのは、1948年のことです。

「タンカレー」の製法

「タンカレー」の製法とボタニカルについて解説します。

製法

通常、スピリッツは1度の蒸留で精製できますが、「タンカレー」は4回蒸留で製造されています。

何度も行わなくてもよいところを、「タンカレー」は3回の蒸留でスピリッツの純度を上げ、さらにもう一回の蒸留でボタニカルの香りを付けていて、洗練された味わいを生みだしています。

ボタニカル

ジュニパーベリー

ボタニカルは、ジンの基本といわれている次の4つが使用されています。

  • ジュニパーベリー
  • リコリス
  • コリアンダー
  • アンジェリカルート

これら4つのボタニカルを中心に、「タンカレー」には複数のボタニカルが配合されています。

この他「タンカレー」の詳細なレシピや製法は門外不出で、詳細を知る職人は世界にたった6人といわれています。

ジンのボタニカルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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「タンカレー」の歴史【創業者・オーナーの変遷】

「タンカレー」の創業者は、チャールズ・タンカレーという人物です。

創業者と蒸留所の設立、創業当時に目指していたジンについて紹介します。

創業者チャールズ・タンカレーが19世紀に蒸留所を設立

タンカレーの蒸留所
Tanqueray

創業者のチャールズ・タンカレーは、1810年にイギリスで生まれました。

祖父や父は牧師という聖職者の家系でしたが、チャールズ・タンカレーは聖職に就くことを拒み、ジンを造ることを決意。

1830年、チャールズは弱冠20歳のときに弟のエドワードと共に起業し、ロンドンのブルームズバリーに蒸留所を設立します。

(しかし弟のエドワードは、蒸留所を創業して数年後に死去)

当時のイギリスは、粗悪なジンが横行していたジンクレイズ(狂気のジン時代)が終焉を迎える頃で、政府の取り締まりにより、少しずつ高品質なジンが誕生し始めた時代でした。

そんなジンの黎明期に、「タンカレー」は誕生しました。

チャールズ・タンカレーが目指したのは高品質ジン

チャールズ・タンカレーが目指したのは、これまでにない高品質のジンです。

当時流行していたのは、オールドトムジンという砂糖や甘みが加えられたジン。

現在販売されているオールドトムジンと違い、砂糖や甘みで雑味をごまかしているジンです。

チャールズはオールドトムジンと対照的な雑味のないクリアなジンの生産を目指して試行錯誤を重ねよりピュアなジンを精製する4段階の蒸留手法を編み出しました。

ボタニカルの調合比率も熱心に研究し、特徴ある味わいを生み出すため300 以上ものレシピを試作しました。

こうしてできた「タンカレー」はオールドトムジンとは全く異なる味わいで、瞬く間にロンドンで注目を集めます。

現在のロンドン・ドライジンの先駆けともいえるジンの誕生です。

「ロンドン ドライジン」とはロンドン産のジンという意味ではなく、“厳しい規定を順守した良質なジン”を指す呼称です。

190年経った現在においても、創業当時の「タンカレー」のオリジナルレシピや製法は忠実に守られています。

「タンカレー」のオーナーの変遷|ディアジオ傘下になるまで

チャールズ・タンカレーが創業したタンカレー社は何度かオーナーが変わり、今ではディアジオの傘下にあります。

蒸溜所の変遷を、以下の年表にそって見ていきましょう。

1830年チャールズ・タンカレーがヴァインストリート蒸留所を設立
1865年チャールズ・ウォー・タンカレーが蒸留所を継承
1898年ゴードン社と合併、タンカレー&ゴードン社を設立
1922年タンカレー&ゴードン社がディスティラーズ カンパニーに参加
1941年第二次世界大戦により蒸留所が爆撃される
1986年ギネスがディスティラーズ カンパニーを買収し、ディアジオの傘下となる

ゴードン社との合併

1865年、チャールズ・タンカレーは引退しスコットランドに移り、58歳で亡くなります。蒸留所は息子のチャールズ・ウォー・タンカレーが20歳で引き継ぎました。

当時ロンドンには多くのジンの蒸留所がありました。

激しい競争の中を生き残るために、チャールズ・タンカレー社は 1898 年にアレクサンダー・ゴードン社との合併を決定。

タンカレー&ゴードン社が誕生しました。

合併後、ジンの生産はヴァインストリート蒸留所から、ゴードンの所有するロンドンのクラーケンウエル(Clerkenwell)の蒸留所に移されます。

ディスティラーズ カンパニーに参加

1922年、タンカレー&ゴードン社は、ディスティラーズ カンパニー(6つの蒸留所が合併した組織)に参加しました。

第二次世界大戦が始まると、1941年にドイツ空軍により蒸留所が爆撃されて大きな被害を受け、一つのポットスチルを除いた全ての設備が破壊されます。

終戦後、1951年に同じ場所に蒸留所を再建して1957 年に再開し、戦火を免れたたった一つのポットスチルも修復されました。

生き残ったスチルは「オールドトム」と名付けられ、今でも使用されています

ディアジオの傘下となり、最大級の蒸留所に

ディスティラーズ カンパニーは1986年にギネス(現:ディアジオ)によって買収されました。

「タンカレー」のスピリッツは、現在キャメロンブリッジの蒸留所で生産されています。

スコットランドのファイフにあるキャメロンブリッジ蒸留所は、ディアジオ最大規模の蒸留所です。

「タンカレー」のラインナップ

「タンカレー」のラインナップを紹介します。

タンカレー

4回蒸留で造られる、キレのある味わいが特徴のジン。

ハーブの風味がクセになる、カクテルにしてもそのまま飲んでも美味しいジンです。

タンカレーNo.10

「タンカレーNo.10」」は2000年に発売されたプレミアムジンで、新鮮な原料を使い、少量ずつ丁寧に製造されています。

「タンカレーNo.10」の名前の由来や、原料・製法の特徴を紹介しましょう。

名前の由来は単式蒸留器「Tiny Ten(タイニーテン)」から

「タンカレーNo.10」の名前は、「Tiny Ten(タイニーテン)」という蒸留器から付けられました。。

「Tiny Ten」とは1930年代、創業から10番目に製造された容量わずか400Lの蒸留器で、スワンネックのユニークな形状が特徴です。

世界初!フレッシュボタニカルを使用

「タンカレーNo.10」は、まず「Tiny Ten」で1回目の蒸留をして「シトラスハート」とよばれるスピリッツを生成します。

ジンのボタニカルは乾燥させた素材を使用するのが一般的ですが、「タンカレーNo.10」はオレンジやライム、グレープフルーツの生の皮を使用しています。

乾燥素材ではなくフレッシュなボタニカルを使用するのは、「タンカレーNo.10」が世界初です。

スタンダードボトルの「タンカレー」と違うのはボタニカルの種類や配合で、ジュニパーベリーの割合は「タンカレーNo.10」のほうが多めです。

蒸留した原酒を40%カットし、ピュアなスピリッツを抽出

ジンは蒸留時、蒸留の最初の部分(ヘッド)と最後の部分(テール)をカットします。

これはスピリッツの純度を保つための作業で、スタンダードボトルの「タンカレー」は、全体の10%ほどカットしています。

対して「タンカレーNo.10」は、なんと40%ものヘッドとテールをカットし、純度の高いスピリッツを抽出します。

まむ

精製したスピリッツの最もピュアな部分、全体の6割しか「タンカレーNo.10」になれません!

この割合は、各ボタニカルの風味を一番バランスよく感じられる割合でもあります。

「タンカレーNo.10」の味と香り

香りはフローラルでフレッシュ。

透明感があり、グレープフルーツなどのシトラスの香りがはっきりと感じられます。

「タンカレーNo.10」は、ロックでじっくりと飲むのがおすすめです。

タンカレー マラッカ ジン

タンカレーマラッカジン
ロックで飲んで、スパイシーな香りを楽しむのがおすすめ

マラッカジンは、1839年にチャールズ・タンカレーが造った蒸留ジンです。

もともと、東インド会社が支配していた地域向けに作られたもので、マレーシア半島とインドネシアのスマトラ島のある、マラッカ海峡にちなんで名付けられました。

マレーシアの植物が使われているスパイスの利いたジンで、通常のタンカレーよりもジュニパーの使用量が抑えられており、シトラスの味が強調されています。

香り高い「マラッカジン」はファンが多く、まろやかでそのまま飲んでも飲みやすいジンです。

タンカレー ラングプール

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ラングプールライムの和名は、「姫レモン」というマンダリンとシトラスの交配種で、ライムに近い味のする柑橘系フルーツです。

「タンカレー ラングプール」はラングプールの風味が強く、ライムを搾ったようなフレッシュさを味わえます。

フルーティなジンが好きな方におすすめです。

タンカレー ブラックカラント ロイヤル ジン

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ブラックカラント、つまりカシスを漬け込んだタンカレーです。

鮮やかな紫色が美しいですね!

カシスの他にバニラも使用されていますが甘さは殆どなく、ほろ苦さのあるジンです。

最後に

プレミアムジンの「タンカレー」について紹介しました。

「タンカレー」は、ジンクレイズの時代に生まれた、クオリティの高いジン。

後のジンの品質にも良い影響を与えました。

いまやバーシーンに欠かせないジンとなった「タンカレー」を、ぜひ一度味わってみてください。

「タンカレー」ジンとは|歴史や製法、味について徹底解説!

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