イギリス産の「ゴードン」ジンは、しっかりとボタニカルの風味が味わえるロンドン・ドライジンです。
コストパフォーマンスが高くカクテルに適したオールマイティなジンで、世界中のバーテンダーに愛されています。
当記事では「ゴードン」の特徴や製法、終売したボトルについて解説するので、味やラインナップを知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。
「ゴードン」とは
代表銘柄 | Gordon′s London Dry Gin |
種類 | ロンドン ドライジン |
原産国/種類 | イギリス |
製造元 | ディアジオ |
ボタニカル | ジュニパーベリー、他(※レシピは非公開) |
30秒で読める!「ゴードン」の特徴5つ
「ゴードン」の特徴は次の5つです。
- ラベルのイノシシは「ゴードン家」の紋章
- 250年の歴史ある老舗のジンブランド
- 無名のジンが当たり前の時代だった創業当時、名前を商品名にしてブランド化
- ジントニックを開発
- アルコール度数47.3%のボトルは、惜しまれつつ終売
「ゴードン」の味/レビュー
ジュニパーベリーの香りとともにハーブのような香りが強く感じられ、歴史を感じる王道のジンの味わいです。
この植物感がたまらない!
ザ・ドライジン。
クセがないのでカクテルベースにも向いており、炭酸や好みのジュースで割って気軽に飲めます。
味わいがしっかりしている上にリーズナブルで、非常におすすめのジンです。
「ゴードン」の度数による味わいの違い
「ゴードン」ジンは、現在アルコール度数が37.5%・43%・47.3%の3種類が流通しています。
アルコール度数の高いほうがジンの香りや味わいが強く感じられ、ボディが強くカクテルベースにも向いています。
度数の高いものがおすすめ!
37.5%のゴードンはボトリングの際に多めに加水されており、非常にマイルド。
ジン好きの私には、37.5%は少々物足りない印象でした。
名前の由来・デザイン
名前の由来は、創業者アレクサンダー・ゴードンの名前から。
デザインの特徴はラベルのイノシシで、イノシシはゴードン家の紋章です。
ゴードン家の一員が、狩猟中にスコットランド王をイノシシから救った逸話があり、そこからゴードン家の紋章にはイノシシの頭が描かれるようになりました。
1909 年以来、「ゴードン」ジンのラベルには、ゴードン家の紋章であるイノシシが採用されています。
製法とボタニカル
「ゴードン」ジンは 3 回蒸留で造られています。
ボタニカルはジュニパーベリーの他、コリアンダーシードやアンジェリカルートなどを使用していますが詳細は非公開。
「ゴードン」はジンのレシピの特許を取っていて、このレシピを知る人は、世界で12人だけといわれています。
ジンのボタニカルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
「ゴードン」の歴史
「ゴードン」は250年の歴史を誇るイギリス屈指のジンブランドです。
歴史の一部を次の年表に沿って紹介しましょう。
- 1769年 アレクサンダー・ゴードンがロンドンに蒸留所を設立
- 1786年 生産拠点をクラーケンウェル地区に移す
- 1898年 ゴードン社とタンカレー社が協業する
- 1925年 ロイヤルワラントを授与される
創業者アレクサンダー・ゴードンが蒸留所を設立
「ゴードン」の創業者はアレクサンダー・ゴードンで、彼は1769年にロンドンのサザーク地区に蒸留所を造りました。
当時は狂気のジン時代が終わりを告げ、高品質なジンがつくられ始めた時代です。
そのような時代の中、ゴードンは最高級のボタニカルを用いて高品質なジンを製造しました。
当時のジンは商品名がなく匿名で売られるのが一般的でしたが、ゴードンはジンの品質を保証するため、瓶のラベルに自らの名前を表記。
「ゴードン」ジンは、名前を記してブランド化した最初のジンです。
なお、この創業時のレシピは「1769レシピ」として今も頑なに守られています。
拠点を移し、やがてタンカレー社と協業
「ゴードン」のロンドン・ドライジンは人気を博し、需要が急増します。
1786年、増えた需要に対応するため、生産拠点をジンの生産が盛んだったクラーケンウェル地区に移しました。
19世紀になると、ジン人気の高まりジン蒸留所が増え、ゴードン社は他のジンブランドとの競争にさらされます。
激しい競争の中を生き残るため、1898年、ゴードン社はライバルだったタンカレー社と協業を決定。
世界最大(当時)のジンメーカー、タンカレー・ゴードン社が誕生しました。
タンカレー・ゴードン社は、陶器のボトルが主流だった時に独自のガラスボトルを採用するなど、革新的な取り組みを行いました。
ロイヤルワラント(英国王室御用達)の授与
1925年、「ゴードン」はイギリス皇太子よりロイヤルワラント(英国王室御用達)を授与されます。
「王室御用達」を名乗れるジンはこれまでになく、当時のジン業界では初の快挙でした。
王室に認められることで「ゴードン」は由緒正しいジンとなり、ジン業界の地位向上にも一役買います。
質の高い「ゴードン」は近年においても多くの世界的な賞を受賞しており、バーテンダーなどの専門家をはじめ、世界中の人々に支持されています。
ジントニックを生んだ「ゴードン」
「ゴードン」は、世界で初めてジントニックを生んだブランドといわれています。
「ゴードン」で作ったジントニックはG&T(ゴードン&トニック)と呼ばれ、1990年頃のイギリスのパブでよく出されるスタンダードカクテルでした。
「ゴードン」は他のカクテルベースとしても人気で、007の小説『カジノ・ロワイヤル』では、ジェームズ・ボンドがマティーニを注文する際、ベースに「ゴードン」を指定しています。
「ゴードン」の飲み方・おすすめのカクテル
「ゴードン」のおすすめは、もちろんゴードン&トニック(ジントニック)です。
「ゴードン」はジュニパーベリーの香りがしっかり感じら、トニックウォーターとの相性は抜群。一口飲めば、さわやかな味わいが広がります。
公式サイトにあるパーフェクト ゴードン&トニックのレシピを紹介します。
- 冷やしたロンググラスに、氷を入れる
- 「ゴードン」を50ml、氷の上から注ぐ
- 冷やしたトニックウォーターを注ぐ
- カットしたライムを搾って入れる
- 最後に、全体を軽く混ぜて完成
トニックと炭酸を半々にした「ジンソニック」もおすすめ!
トニックウォーターだけでなくジンジャーエールやソーダで割っても楽しめ、さまざまなカクテルに活躍するジンです。
「ゴードン」のラインナップ
「ゴードン」のラインナップを紹介します。
ゴードン ロンドン・ドライ ジン(43%・37.5%)
さまざまな受賞歴のある、「ゴードン」のスタンダードボトルです。
アルコール度数が43%・37.5%の2種類が現行販売されており、個人的にはコシの強い43%がおすすめです。
【終売】ゴードン ロンドン・ドライジン(47.3%)
「ゴードン」ジンは2017年にリニューアルし、アルコール度数47.3%は終売。代わりに43%のゴードンがリリースされました。
この度数変更のリニューアルは動揺が大きく、バー業界にも激震が走りました。
個人的ファンだけでなく、バーテンダーも買いだめをするような動きがありました。
旧ボトルの度数47.3%のゴードンは現行品43%のよりもボディが強く、飲みごたえ抜群。
ドライマティーニなどのカクテルを作るなら、断然旧ボトルがおすすめです。
終売にはなりましたが、ネットやオークションサイト、酒屋などではまだ手に入るようです。
写真はペットボトルの旧ゴードン。
旅行先の酒屋でゲットしました!
ゴードン プレミアム ピンク ジン
「ゴードン」ジンにラズベリーやストロベリーのフレーバーが加わった蒸留ジンで、天然のフルーツフレーバーのみを使用してつくられています。
甘みが添加されているので飲みやすく、そのまま飲んでもソーダ割りでも楽しめるでしょう。
赤ワインや白ワインに混ぜても美味しく飲めそうです。
ゴードン シチリアン レモンジン
レモンフレーバーの「ゴードン」ジンで、こちらも分類は蒸留ジンです。
最高級のシチリア産レモンで、100%天然のフレーバーを使用してつくられています。
ゴードン ジン グリーンボトル
19世紀からイギリスで流通している現地向けのボトルで、日本でも並行輸入品が購入できます。
アルコール度数は37.5%と低めで、透明ボトルのゴードンに比べるとライトな味わいです。
ゴードン スロージン
ゴードン ジンにスローベリー(西洋すもも)を漬け込んでつくられた、甘酸っぱさとフルーティーさが楽しめるリキュールです。
着色料は使用されていないナチュラルカラーで、カクテルにもよく使用される代表的なスロージンです。
ゴードン ジン エルダーフラワー
ゴードン ジンにエルダーフラワーのフレーバーを加えたジンです。
エルダーフラワーはフルーツのような香りのハーブで、マスカットや洋ナシのような香りが楽しめます。
カクテルに使えば、フローラルな香り漂う華やかなジンカクテルが作れるでしょう。
最後に
「ゴードン」ジンについて紹介しました。
250年の長い歴史の中でジンの品質を上げ、ジン業界全体の地位を向上させた「ゴードン」。
今でも品質に妥協せず、それでいてリーズナブルな価格をキープしています。
世界中の人々に愛される「ゴードン」を、ぜひ一度味わってみてください。