No.3ロンドンドライジンは、イギリス最古のワイン・スピリッツ商であり王室御用達のBB&R(ベリー・ブラザーズ&ラッド)がつくるプレミアムジンです。
製品コンセプトは「最もロンドンドライジンらしいジン」「最もマティーニに合うジン」で、高バランスの上品な味わいは一度飲んだらとりこになること間違いなし。
カクテルでもストレートでも美味しく飲める、奥深いNo.3ロンドンドライジンのレビューと、その歴史や製法を紹介します。

- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。
No.3ロンドンドライジンとは

No.3ロンドンドライジンには6種のボタニカルのみが使用されており、シンプルながら洗練された味わいが特徴です。
代表銘柄 | No.3 London Dry Gin |
種類 | ロンドンドライジン |
蒸留地 | オランダ (スヒーダム/Schiedam) |
製造元 | ベリー・ブラザーズ&ラッド (Berry Bros&Rudd/通称BB&R) |
ボタニカル | 6種類 |
30秒で読める!No.3の5つの特徴
「No.3ロンドンドライジンのユニークポイントだけ知りたい」という方のために、30秒で読める5つの特徴を紹介します。
- 製造するBB&Rは、1698年創業の老舗のワイン商でイギリス王室御用達
- 「マティーニに最も合うジン」としてアルコール度数は高めの46%に設定
- ボトルの鍵はBB&Rの応接室の鍵がモチーフ
- ポットスチルはオランダ製で、100年の歴史を持つレンガに囲まれたスチル
- 2019年、世界的なコンペISCにおいてジン史上初の全部門最高賞(SUPREME CHAMPION)を獲得
No.3の味/レビュー

グラスに注いで鼻を近づけると、ジュニパーベリーのフレッシュな香りがしっかり感じられました。

ストレートで試してみました。香りの時点で、もう美味しい…。
一口含むと、トロリとした口当たりにほのかな甘さ。
柑橘とハーブと濃密な味わい、果皮の心地よい苦味が味わえます。
ジュニパーベリーの香りも堪能でき、味わいのバランスは最高。後から生姜っぽいスパイス。
使用ボタニカルは6種類のみですが、そんなシンプルな構成とは思えないほど、複雑で奥行きのある味わい。
余韻は優しくじんわり広がり、えぐみや渋み、アルコールの嫌な刺激は全くありません。
アルコール度数は46%と高いのに最後までそれを感じさせない柔らかさで、スルスル飲めてしまうジンです。



めちゃ美味い。ジン好きは絶対飲んでほしい。
ストレートで一口飲んだだけで、「これ絶対マティーニ作ったらうまいやつ」と確信が持てました。
滑らかな口当たりにほのかな甘さ。特にマティーニが好きな方におすすめしたいジンです。


No.3のラインナップ|キングスマン エディション


No.3ロンドンドライジンには、かつて限定販売されたラインナップとして「キングスマンエディション」があります。
これは世界71か国で大ヒットしたスパイアクション映画「キングスマン・ゴールデンサークル」の撮影に、BB&Rの本店が使われたことを記念してリリースされた限定ボトルです。
アルコール度数は通常のNo.3ロンドンドライジンよりも高い49%に設定されており、映画に登場するスパイ機関キングスマンのマークが、ボトルの前面に隠されています。
No.3ロンドンドライジンのおすすめの飲み方
No.3ロンドンドライジンのおすすめしたい飲み方・カクテルは、次の3つです。
- ストレート
- ジントニック(公式レシピ)
- マティーニ
ストレート
バランスが良く飲みやすいNo.3ロンドンドライジンは、まずは常温のストレートで飲むのがおすすめです。
トロリとしたスイートな味わいが楽しめます。



「ジンってこんなに飲みやすいんだ!」と驚くこと請け合い。
ロックで飲むよりも、なぜか飲みやすさを感じました。
ジントニック
洗練されたキレのあるジントニックが作れるので、ぜひ飲んでみてください。
ライムを搾って作るジントニックは、フレッシュな柑橘を存分に楽しめます。
公式サイトでがライムを使わないジン&トニックのレシピが公開されており、この爽やかでスパイシーなレシピもおすすめです。
▼ジン&トニック
・No.3ロンドンドライジン:50ml
・トニックウォーター:150ml
・(飾り)ロースマリーの枝、カットグレープフルーツ
氷を入れたタンブラーにNo.3とトニックウォーターを入れ、混ぜて飾りを添えれば完成です。
その他、No.3ロンドンドライジンをさまざまなカクテルで試してみたい方は、次の記事も参考にしてみてください。


マティーニ


No.3ロンドンドライジンの本領を発揮するのが、マティーニです。なにせコンセプトが「マティーニに最も合うジン」。
アルコール度数46%の力強い味わいとジュニパーベリーの芳醇な香りが、高バランスのマティーニをつくります。
公式で推奨されているレシピは、以下です。
▼パーフェクトマティーニ
・No.3ロンドンドライジン:60ml
・ドライベルモット:10ml
・レモンピール
ジンとベルモットをミキシンググラスでステアし、最後にレモンピールを絞れば完成です。
参考:No. 3 Perfect Martini – No3 Gin
No.3ロンドンドライジンの名前の由来・ボトルデザイン




「No.3」は、BB&R社のオフィスの住所であるセントジェームス ストリート3番地(No.3 St James’s Street, London)にちなんで名づけられました。
ボトルの印象的な青緑色のカラーはショップの外装を表しています。
また、ボトルに取り付けられた鍵のデザインは、長い歴史の中で数々の賓客をもてなしてきたショップの応接室の鍵がモチーフです。
エリザベス女王とチャールズ皇太子のロイヤルワラントはネック部分に表示されています。
新ボトルと旧ボトルとの違い




No.3ロンドンドライジンのボトルデザインは、2020年9月に変更されました。
現在の新ボトルは明るいグリーンですが、旧ボトルはより深い緑で重厚な雰囲気でした。



デザインは、旧ボトルの方が好みかなあ。
旧ボトルでは、ロイヤルワラントがボトル下部に置かれています。なお、公式によると中身は全く変わらないとのことです。
参考:No.3ロンドンドライジンのボトルデザインを変更 – ジャパンインサイト
No.3ロンドンドライジンの製法
No.3ロンドンドライジンの製法について、ボタニカルと蒸留工程に分けて紹介します。
ボタニカルは6種


No.3は、以下の6種のボタニカルのみを使用しています。
- ジュニパーベリー(イタリア産)
- オレンジピール(スペイン産)
- グレープフルーツピール
- コリアンダーシード
- カルダモンポッズ
- アンジェリカルート



ポピュラーなボタニカルのみ、シンプルな設計!
それぞれのボタニカルについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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浸漬法によるボタニカルの抽出
No.3ロンドンドライジンは、浸漬法(steeping)でボタニカルの香味を抽出しています。
まずはオランダ産の歴史あるポットスチルに、グレーンスピリッツと細かく刻んだボタニカルを投入し、16時間浸漬します。
グレーンスピリッツは、フランス産オーガニック冬小麦のみで製造された高純度のスピリッツです。
長時間の浸漬工程によりボタニカルは水分を含んで柔らかくなり、香りや味わいがアルコールに溶け出しやすくなります。
翌日、7時間掛けて蒸留します。適切なタイミングを見極め、マスターディスティラーが蒸留液のハート部分をカットします(ミドルカット)。
ハート部分にはボタニカルの風味豊かなエッセンスが詰まっており、この時点のアルコール度数は約76.5%。
厳重な品質チェックの後に蒸留液は濾過され、加水してアルコール度数46%に調整されます。
No.3ロンドンドライジンを手掛けるBB&R
No.3ロンドンドライジンを手掛けているのは、300年以上の歴史を持つ老舗ワイン商のベリー・ブラザーズ&ラッド(BB&R)です。
BB&Rの歴史と、No.3ロンドンドライジンのコンセプトを紹介します。
ベリー・ブラザーズ&ラッド(BB&R)とは
ベリー・ブラザーズ&ラッド(Berry Bros. & Rudd/通称BB&R)はイギリス最古のワイン・スピリッツ商で、1698年に創業しました。
創業者は「ボーン」という姓のみが記録に残る女性です。
ボーン婦人が拠点を構えたのは、ロンドンのセントジェームス ストリート3番地で、宮殿の真向かいという一等地でした。
婦人はコーヒーやスパイスの販売から事業をスタートさせます。


事業は娘や孫たちに継承され、やがて1803年に当時16歳のジョージ・ベリーが店の門を叩いたことから、「ベリー」の名前が冠されます。
それからジョージ・ベリーの二人の息子に事業が引き継がれ、ベリー・ブラザーズが会社名に入りました。
20世紀初頭にはラッド家も経営に参加し、1920年代には禁酒法下のアメリカでウイスキー「カティサーク」が大ヒットします。
20世紀後半には世界有数のワイン・スピリッツ商として大きく成長を遂げ、それまで英国王室から2つのロイヤルワラント(王室御用達)を受けています。
ベリー・ブラザーズ&ラッドは創業から現在まで同族経営を解いたことは一度もなく、今なおボーン婦人が拠点を構えた宮殿向かいの場所で営業を続けています。




「真のクラシックジン」を目指す
老舗のBB&Rが長年の実績を活かし、新たな挑戦として着手したのがジン開発でした。
単に優れたジンではなく「完璧なロンドンドライジン」「カクテルを念頭に置いたジン」を目指し、次に信念のもとに開発を進めます。
We’re NOT JUST DETAIL-ORIENTATED,
we’re DETAILS of DETAILS ORIENTATED.
「私たちは単に細部にこだわるのではなく、
細部の細部にこだわっています。」
引用:No3 Gin
「完璧さは細部の細部に宿る」という思いから、ジン発祥の地であるオランダに出向き、100年前のポットスチルを入手。
ジンの専門家たちと協力し、アルコール度数やボタニカルを調整し、理想のジンを追求しました。
そうして2年もの歳月をかけて完成したのが、No.3ロンドンドライジンです。
No.3ロンドンドライジンNo.3の受賞歴


BB&Rが2年の歳月をかけてつくったNo.3ロンドンドライジンは、権威ある品評会において数々の栄誉に輝いています。
まず、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)においては次のアワードを獲得しています。
- 2019年:シュプリーム・チャンピオン・スピリット(全部門対象)
- 2019年:トロフィー(ジン部門)
- 2015年:トロフィー(ジン部門)
- 2013年:トロフィー(ジン部門)
- 2012年:トロフィー(ジン部門)
「トロフィー(Trophy)」とは、各部門で最も優れた製品に授与される賞です。
注目したいのは、2019年の「シュプリーム・チャンピオン・スピリット(Supreme Champion Spirit)」。
これは、ウイスキーやブランデー、ラムやテキーラなどの全部門のトロフィーの中で、最も優れた製品に授与される、全製品の頂点に立つ最高賞です。



かなりすごい賞!!!しかも、ジンの受賞は史上初とのこと。
その他、サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)では、3年連続でダブルゴールドを獲得したスピリッツに授与される、プラチナメダルを獲得しています。
最後に
No.3ロンドンドライジンを紹介しました。
No.3ロンドンドライジンは、イギリス最古のワイン商、ベリー・ブラザーズ&ラッドが2年の歳月をかけて完成させたプレミアムジン。
6種のボタニカルのみを使用したシンプルな構成ながら、高バランスで奥行きのある味わいを生み出しています。
ジンラバーやマティーニ好きには特におすすめです!ぜひ一度試してみてください。

