ジンのザ・ボタニストは、スコットランドのアイラ島にあるブルックラディ蒸留所が手がけており、島の自然のめぐみが体現されているジンです。ブルックラディ蒸留所はジンだけでなくウイスキーも製造していて、アイラ島の風土を生かしたお酒づくりにこだわっています。
そんなアイラ島のジンザ・ボタニストの味や飲み方、歴史を詳しく解説します。どのようなジンか知りたい方、購入を迷っている方はぜひ参考にしてください。

- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
300種類以上のお酒を飲んできた実体験を基に「本当に美味しい!」と感じたお酒を紹介しています。
ザ・ボタニストとは

ザ・ボタニストはスコットランドのアイラ島にあるブルックラディ蒸留所が製造している、アイラ初のジンです。
9種類のコアボタニカルに加えてアイラ島に自生する22種のボタニカルが使用されており、多様な植物が織りなすリッチでキレのある味わいが特徴です。
| 代表銘柄 | The Botanist Islay Dry Gin |
|---|---|
| 原産国/種類 | スコットランド/ロンドン ドライジン(※) |
| 蒸留所 | ブルックラディ蒸留所 |
| 販売元 | レミーコアントロージャパン |
| ボタニカル | 31種類 |
※製法上ロンドンドライジンの要件は満たしているものの、ブランド公式の呼称は「アイラドライジン(Islay Dry Gin)」となっています。
30秒で読める!ザ・ボタニストの5つの特徴
ザ・ボタニストの特徴は次の5つです。
- ボタニストとは「植物学者」の意味
- 使用ボタニカル31種類のうち22種がアイラ産
- 蒸留所のリーダー2人は生粋のアイラっ子
- 閉鎖蒸留所にあった珍しいローモンドスチルを改良して蒸留に使用
- 浸漬と蒸留には合計19時間かける丁寧&ゆっくり製法
ザ・ボタニストの味/レビュー

ボタニカルを31種類も使用しているだけあり、植物の豊かな香りが楽しめます。コリアンダー、柑橘、フローラルな花といったさまざまなフレーバーが感じ取れるので、ロックでじっくり楽しむのもおすすめです。
まむ多層的で、とってもいい香り!
味わいはリッチかつキレがあり、ほのかに甘みがあります。炭酸にもよくなじむので、レモンやライムを搾ったソーダ割りもいいですし、ジントニックにしても美味しく飲めます。
名前の由来・デザイン


ザ・ボタニストとは、植物学者の意味です。
このジンの開発当時、マスター・ディスティラーだったジム・マッキュワンは、アイラ島に住む2人の植物学者・ガリバー夫妻にアイラ島で継続採取が可能なボタニカルの選定を依頼しました。
ガリバー夫妻は30種類を厳選して採取し、そのうちの22種類を使用することをジムが決定。この2人の植物学者に敬意を表し、ジンはザ・ボタニストと名付けられました。
ボトルにエンボスで刻まれているのは、アイラ産の22種のボタニカルのラテン語名です。ジンのボタニカルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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ザ・ボタニストの製法
洗練された味わいのザ・ボタニストの製法とボタニカルを、以下のトピックに沿って解説します。
- アグリー・ベティと呼ばれたローモンドスチル
- アイラ産にこだわったボタニカル
- 長時間の浸漬と蒸留
アグリー・ベティと呼ばれたローモンドスチル


ザ・ボタニストをつくるブルックラディ蒸留所では、グラスゴーの閉鎖蒸留所(インヴァーリーヴン蒸留所)から購入したローモンドスチルを使用しています。
珍しい形状のローモンドスチルは「アグリー(醜い)・ベティ」と呼ばれました。



アメリカのコメディドラマにちなんだ愛称ですね。
スコットランドの蒸留所、スチルに名前をつけがち。
スチルには銅のパイプやプレートが追加され、アルコールの蒸気がゆっくり流れるように改良されています。蒸気の流れを抑制して銅との接触を増やすことで、よりクリーンなスピリッツがつくれるようになりました。
アイラ産にこだわったボタニカル


ボタニカル31種で、9種類のコアボタニカルと22種のアイラ島産ボタニカルが使用されています。ジュニパーベリーをはじめとするコアボタニカルは、世界各地から取り寄せた質の高い9種類を採用。アイラ島産の22種類のボタニカルは、現在はジェームズ・ドナルドソンという人物が必要なボタニカル全て採取しています。
ボタニカルの収穫期間は毎年3月から10月で、11月から翌3月までは自然保護と環境の回復のために採取しません。
さまざまな場所で少しずつ集めて決して一カ所で大量に摘まないようにし、環境に大きな影響を与えないよう細心の注意を払って採取されています。
長時間の浸漬と蒸留
浸漬と蒸留は、時間をかけてゆっくりと行われます。
ローモンドスチルに英国産の小麦スピリッツと9種類のコアボタニカルを加えて約30度の温度でゆっくり加熱し、12時間ほど漬け込みます。夜に始まる浸漬が翌朝に完了すると、スチルの温度を上げてアイラのボタニカルを詰めた布袋がセットされ、蒸留が開始。
アルコールの蒸気が布袋に入った22種のボタニカルに触れ、アロマが取り込まれていきます。7時間ほどかけて蒸留した後、原酒はアルコール度数80%前後となり、加水調整を経てザ・ボタニストが完成します。
ザ・ボタニストをつくるブルックラディ蒸留所


ザ・ボタニストはアイラ島のブルックラディ蒸留所でつくられており、現在蒸留所をけん引しているのはアイラ生まれの2人の人物です。
「ブルックラディ蒸留所の歴史」と「アイラ生まれの2人のリーダー」を紹介します。
ブルックラディ蒸留所の歴史
ブルックラディ蒸留所はアイラ島西部のラインズ・オブ・アイラに位置しており、1881年に建設されました。ブルックラディとはゲール語で「海辺の丘の斜面」の意味で、その名のとおりインダール湾に面した海沿いの蒸留所です。
創業後は、アメリカの禁酒法や世界大戦の影響を受けて操業停止やオーナー交代を経ることになります。1994年には、ジムビーム社を最後のオーナーとしてついに閉鎖。
蒸留所の復活に尽力したのがジム・マッキュワンという人物で、2000年に彼を含めた5名の投資家グループが蒸留所を購入、2001年にウイスキー蒸留が再開されました。



購入価格は650万ポンドといわれ、なんと当時の日本円で約11億円でした!
再開後、ブルックラディ蒸留所はアイラ島内の農家とパートナーシップを結び、アイラ産の大麦栽培にも着手します。ウイスキーの「ブルックラディ」「ポートシャーロット」をリリースし、2008年には「オクトモア」もリリースしました。
ジンを蒸留するスチルが設置されたのは2010年で、ジム・マッキュワンと次章で紹介するアダム・ハネット、アラン・ローガン3人の手によるものでした。
アイラ生まれの2人のリーダー
2015年より、ブルックラディ蒸留所を率いているのはマスター・ブレンダーのアダム・ハネットとプロダクション・マネージャーのアラン・ローガンです。2人ともアイラ生まれのアイラ育ちで、島のテロワールを体現するジンの生産に情熱を持って取り組んでいます。


画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000330.000016452.html
▼アダム・ハネット(マスター・ブレンダー)
アイラ島育ちのアダムは、大学卒業後にブルックラディ蒸留所でツアーガイドの仕事を開始。ツアーガイドからウェアハウスマン、マッシュマン、スチルマンを経験したのちにヘッド・ウェアハウスマンへ。
ジム・マッキュワンから多くを学び、2015年にジムが引退するとヘッド・ディスティラーに就任。2025年にはマスター・ブレンダーに昇進した。


画像引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000016452.html
▼アラン・ローガン(プロダクション・ダイレクター)
アダムとともにブルックラディを背負って立つアラン・ローガンは、古くからアイラ島でウイスキーづくりに携わる一家の4代目。2001年、ブルックラディ蒸留所が再稼働を始めた際に入社して設備の整備を担当した。
ジム・マッキュワンの下で経験を積み、ジムが2015年に引退するとプロダクション・ダイレクターとなった。
ザ・ボタニストのラインナップ


スタンダードボトルの他、200mlのサイズもリリースされています。オリジナルのバースプーンも販売されているため、グッズ好きな方は検討してはいかがでしょうか。
最後に
アイラ島のテロワールを体現するクラフトジン、ザ・ボタニストを紹介しました。ザ・ボタニストはアイラ島のボタニカルがふんだんに使用されており、ブルックラディ蒸留所で丁寧に時間をかけてつくられています。
一時は閉鎖したブルックラディ蒸留所ですが、アイラ島を愛する人々によって復活を遂げてアイラらしさを表現するスピリッツを製造しています。
アイラ島の自然の恵み・人々の地元愛が結集したザ・ボタニストを、ぜひ一度味わってみてください。


