「ヘンドリックス」ジンとは?味や製法、おすすめの飲み方を解説!

「ヘンドリックス」ジンとは?味や製法、おすすめの飲み方を解説!

「ヘンドリックス」ジンは、バラとキュウリのエキスの入った香り高いジンで、植物の青々とした香りや上品な花の香りがクセになる逸品です。

そんな「ヘンドリックス」は、どのようにして誕生したのでしょうか。

今回は「ヘンドリックス」の歴史や名前の由来、香りを生み出す製法やラインナップを紹介します。

この記事を書いた人
まむ
  • 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
  • ウイスキーエキスパート所持

ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。

目次

「ヘンドリックス」とは

ヘンドリックス

「ヘンドリックス」は、スコットランド生まれのジンで、キュウリのみずみずしい風味が特徴です。

代表銘柄Hendrick’s Gin
種類蒸留ジン(Distilled Gin)
生産国スコットランド・ローランド
製造元/輸入元ウィリアム・グラント&サンズ社/山陽物産
蒸留所ガーバン(Girvan)
ボタニカル11種類 (他、2種類のボタニカルエキス)

30秒で読める!「ヘンドリックス」の特徴5つ

「ヘンドリックス」の特徴は次の5つです。

  • 「ヘンドリックス」の名は、庭師の名前から
  • キュウリとバラのエキスが入っている
  • 製造会社は、「グレンフィディック」で有名なウィリアム・グラント&サンズ社
  • 「ベネット」と「カーター」という、2種の珍しい蒸留器を使用
  • 開発者は、もと科学者のレスリー・グレイシー氏


次章から詳しく説明します。

「ヘンドリックス」の味/レビュー

華やかでフローラルな柑橘系のジンで、ジュニパーの香りやレモンピールの苦味が口中に広がり、余韻は長いのが特徴です。

まむ

フローラルで香り高く、非常に美味しいです!

「ヘンドリックス」のボトルの裏のラベルには「It s not for everyone」、つまり「万人向けではない」というキャッチコピーが書いています。

まむ

キャッチコピーが強気!

しかしながら飲み口は甘めで飲みやすく、独特な世界観がありながらバランスが良いという、稀有な銘柄です。

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名前の由来

「ヘンドリックス」の名付け親は、創業者ウイリアム・グランツの孫娘、ジャネット・ロバーツ。

ジャネットの自宅の庭師であるヘンドリックにちなんで名付けました

開発者のひとりが、バラの咲くジャネット宅の庭でキュウリ入りのサンドイッチを食べたとき、キュウリとバラをジンに入れるアイデアを思いついたそう。

インスピレーションを得た庭ということで、バラの庭を造った庭師ヘンドリックが、ジンの名前に採用されました。

「ヘンドリックス」の製法

独特の味わいを生み出す、「ヘンドリックス」の製法とボタニカルを解説します。

製法

カーターヘッド・スチルとべネット・スチル
カーターヘッド・スチル(中央)とべネット・スチル(左/右)

ヘンドリックスを造る蒸留所には、全部で3基の蒸留器があります。

カーターヘッド・スチルが1基、ベネット・スチルが2基です。

2基あるベネット・スチルのうち1基はオリジナルで、もう1基は追加でリメイクしたものです。

「ヘンドリックス」は、カーターヘッドとベネットの2つのスチルを使い、それぞれから蒸留されたスピリッツ(蒸留液)をブレンドして造られています。

まむ

2つのスチルの原酒をブレンドする製法は珍しいですね。

カーターヘッド・スチル

カーターヘッド・スチルは1948年製で、容量は1350Lです。

世界にわずかしか存在しない貴重なスチルで、繊細なスピリッツを造り出すスチルです。

カーターヘッドは、ネックの上に取り付けられたバスケットにボタニカルを詰め、アルコールの蒸気を通してボタニカルのエッセンスを抽出し、香りを添加します。

カーターヘッド・スチルで蒸留された蒸留液は、ボタニカルのフローラル成分やシトラス成分を中心に抽出されるため、華やかな香りになるのが特徴です。

ベネット・スチル

オリジナルのベネット・スチルは、1860年製で容量は1000L。

ベネット・スチルでは11種類のボタニカルを16時間ほど浸漬して香りを付け、その後ゆっくりと加熱蒸留し、アルコール度数70%程度の蒸留液を500Lほど造ります。

こちらは「浸漬法」と呼ばれる蒸留方法で、植物の力強い味わい、強いジュニパー感のある蒸留液が出来上がります。

ボタニカル

「ヘンドリックス」には、以下の11種類のボタ二カルが使用されています。

  • ジュニパーベリー
  • オレンジピール
  • エルダーフラワー
  • コリアンダーシード
  • オリスルート
  • キャラウェイシード
  • クベブベリー
  • アンジェリカルート
  • カモミール
  • レモンピール
  • メドウスウィート

毎年、世界中からその年の一番の収穫物を仕入れています。

ジンのボタニカルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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エッセンス

ボタニカルとは別に、「ヘンドリックス」には「バラ」と「キュウリ」のエッセンスが加えられます。

この2つのエッセンスは、カーターヘッドとベネットで造られたスピリッツをブレンドした後に加えられます。

その後、加水してアルコール度数を44%に調整して、「ヘンドリックス」ジンが完成します。

バラ

ダマスクローズ
ダマスクローズ

「ヘンドリックス」に使用されているバラは、ブルガリア産のダマスクローズ(ロサ・ダマスケナ)です。

日が出る前の早朝に全て手摘みで収穫され、500kgもの花びらを低温でゆっくりと抽出し、1kgの濃縮された薔薇のエッセンスオイルをつくります。

ダマスクローズのエッセンスオイルからは、強い花の香りや花の甘みが加わります。

キュウリ

キュウリ

バラと一緒に加えられているのが、欧州産のキュウリのエキスです。

キュウリはイギリスの夏の風物詩であり、サンドウィッチにも用いられることから、イギリスの象徴としてレシピに組み入れられました。

キュウリは水分が多く、加熱すると焦げたキャベツのような香りが生じるため、アルコールに長時間浸漬した後に低温真空で蒸留し、エッセンスを作ります。

キュウリから抽出された独特の青臭さはヘンドリックスの大きな特徴で、他のジンにはない、ユニークなフレーバーです。

「ヘンドリックス」の歴史【製造会社・開発者】

「ヘンドリックス」ジンは、イギリスに本部があるウィリアム・グラント&サンズ社が製造しています。

ウィリアム・グラント&サンズ社がジンの蒸留を始めたところから、「ヘンドリックス」が開発されるまでの歴史を紹介します。

ウィリアム・グラント&サンズ社

「ヘンドリックス」製造元のウィリアム・グラント&サンズ社は、家族経営の蒸留会社です。

1886 年創業で、当初はシングルモルトやブレンデッドウイスキーの製造・販売を行っていました。

ウィリアム・グラント&サンズ社は、次のような世界的人気のウイスキーを生み出しています。

  • グレンフィディック
  • バルヴェニー
  • モンキーショルダー
  • グランツ

1966年、創業者ウィリアム・グラントのひ孫であるチャールス・ゴードンが、オークションで珍しい蒸留器とジンのレシピを購入したのが、ジン造りのきっかけとなりました。

購入した蒸留器とは、現在も製造に使われているベネット・スチルとカーターヘッド・スチル。

しかし、設備は整ったもののジンを造る職人がおらず、長らくジンの製造は行われませんでした。

なお、当時購入したジンのレシピは、現在の「ヘンドリックス」のレシピとは異なるものです。

カーバン蒸留所

カーバン蒸留所の地図

オークションで購入した蒸留器は、1963年に当社が建設したカーバン蒸留所に設置されていました。

カーバンはスコットランド西部のエアシャーにある地域で、ガーバン蒸留所では、ウイスキーの原酒となるグレーンウイスキーが製造されていました。

開発者、レスリー・グレイシー氏

レスリーグレイシー
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000060718.html

1988年、当社はレスリー・グレイシー氏という人物を迎え入れ、ガーバン蒸留所でジン造りを開始しました。

レスリー・グレイシー氏はもともと調剤業界で働いていた化学者で、夫と一緒にスコットランドに移り、1988 年にウィリアム・グラント&サンズ社に入社。
当社の開発チームに参加して試行錯誤しながらジンを製造し、特徴の違う2つの蒸留器の可能性を探りました。

さらに、レスリー・グレイシー氏は実験室でボタニカルの成分を研究し、種、根、花の組み合わせをテスト。
やがてフレーバーにキュウリを入れるアイデアを形にすると、少量のプレミアム・ジンをつくって女王の従兄弟ロード・リッチ・フィルドや一般のお客様に販売を開始しました。

じょじょにジン製造のレベルを上げ、ついに1999年プレミアム・ジン「ヘンドリックス」が完成。

ヘンドリックスのマスター ディスティラーとなったレスリー・グレイシー氏はその業績を認められ、2018年にはワールド ジン アワードの「ジン ディスティラー オブ ザ イヤー」を受賞しています。

「ヘンドリックス」の飲み方・おすすめのカクテル

ヘンドリックスのカクテル

おすすめなのは、キュウリ入り・ジン&ソーダです。

ストレートやロックもおすすめですが、爽やかな「ヘンドリックス」ジン&ソーダにをキュウリを入れることで、際立つボタニカルの香りが楽しめます。

ジン&ソーダ 基本のレシピ
  1. 氷を入れたロンググラスに、「ヘンドリックス」ジンを30~40mlほど入れる
  2. ステアして氷とジンをなじませる
  3. ソーダを静かに注ぐ。できるだけ氷に当てないように。
  4. 氷を軽く持ち上げる程度の軽めのステアをし、薄くスライスしたキュウリをいれる
まむ

キュウリをスティック状にカットし、マドラーのように挿してもOK!

他にも、公式サイトではさまざまなカクテルレシピが公開されています。

公式サイトは『不思議の国のアリス』のような世界観で、見るだけでも楽しいですよ。

「ヘンドリックス」のラインナップ

「ヘンドリックス」のラインナップを紹介します。

ヘンドリックス・ジン

ヘンドリックスのボトルとスチル
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000060718.html

キュウリとバラの花びらを使用した、異色のジン。

キュウリの爽やかさと、バラの華やかさがクセになるジンです。

アルコール度数:44.0%
容量:700ml

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ヘンドリックス ミッドサマー・ソルスティス

ヘンドリックス ミッドサマー・ソルスティス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000060718.html

「ヘンドリックス」の限定リリース品の「ミッドサマー・ソルスティス」。

「ミッドサマー・ソルスティス」とは夏至のことで、太陽が力強く地上を照らし、花々が咲きほこる夏至をイメージしたジンです。

マスター・ディスティラーのレスリー・グレイシーが厳選したフローラルエッセンスを追加しており、濃厚な花の香りが楽しめる1本です。

アルコール度数:43.4%
容量:700ml

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ヘンドリックス アマゾニア・ジン

マスターディスティラーのレスリー・グレイシーが、アマゾン地域への旅行と現地部族との生活によりインスピレーションを得て誕生したジン。

オリジナルの「ヘンドリックス」ジンに、新たにエキゾチックな要素を加えています。

アルコール度数:43.4%
容量:1000ml

ヘンドリックス ルナジン

「ヘンドリックス」の限定リリースシリーズで、月(ルナ)に触発されて造られたジンです。

植物の秘密のブレンドを使用しているそうで、柑橘系のオイル、エキゾチックなスパイスの強烈な香りが特徴です。

アルコール度数:43.4%
容量:700ml

最後に

ヘンドリックスジンのボトルとカクテル
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000060718.html

バラとキュウリのジン、「ヘンドリックス」について紹介しました。

「ヘンドリックス」は香水のような華やかな香りを持ち、斬新な手法で開発されています。

今や世界で大人気となった「ヘンドリックス」ジンを、ぜひキュウリとともに味わってみてください。

「ヘンドリックス」ジンとは?味や製法、おすすめの飲み方を解説!

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