バスタブジンは、独自の製法でつくられているイギリスのクラフトジンです。
1920年台のアメリカ禁酒法時代の製法にインスパイアされているのが特徴で、クラフトペーパーに包まれたボトルデザインが印象的。
味もボトルもユニークでクラフトジンとしての品質が高く、本国イギリスでは高級デパートで取り扱われているほどの人気のジンです。
今回はバスタブジンの歴史や名前の由来、香り高い味わいを生み出す製法やラインナップを紹介します。
- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。
バスタブジンとは
バスタブジンはエイブルフォースのフラッグシップジンで、ユニークな製法が採用されている少量生産のジンです。
「エイブルフォース」とは、イギリスの大手ウイスキーショップ「マスターオブモルト（Master of Malt)」の関連会社が手がけているブランドです。
| 原産国 | イギリス |
|---|---|
| 代表銘柄 | Ableforth’s Bathtub Gin |
| 種類 | ジン（コンパウンドジン） |
| ボタニカル | 6種類 |
| 製造元 | エイブルフォース |
| リリース | 2011年 |
30秒で読める！バスタブジンの5つの特徴
バスタブジンのユニークポイントについて、30秒で読める5つの特徴を紹介します。
- ジンの密造が盛んだった1920年台の製法をイメージ
- スピリッツを蒸留後、7日間ボタニカルを浸漬して仕上げるコンパウンドジン
- クオリティを重視した少量生産
- ボトル包装はハンドクラフト
- 2014年のワールド・ジン・アワードをはじめ、40以上の賞を受賞
バスタブジンの味／レビュー
バスタブジンはジュニパーベリーの豊かな香り、カルダモンの清涼感あるハーブ香が楽しめます。
ストレートで一口含むと甘みが広がり、ブルーベリーのような味わいとスパイシーさを感じます。
粘性があり、コクがあってクリーミー。
余韻は長く、甘さと柑橘、シナモンが口の中に残ります。
まむスイート＆スパイシー。
濃厚で美味しい！
アルコールのとげとげしさはなく、ハーブ香と甘みのバランスが良いジンです。
なお、開栓すると写真のように封蝋（ふうろう）がポロポロ落ちます。
おすすめの飲み方は「ジントニック」
バスタブジンのおすすめの飲み方は、ジントニックです。
甘口のジンなので酸味との相性が良く、ライムは1/4個分たっぷり搾るのがおすすめです。
ライムが効いたキリリとした味わい、豊かなボタニカルの香りがたまらない濃厚なジントニックが楽しめます。
まむとってもハーバル！
甘さを控えたい場合は、ソーダを半分入れるジンソニックを試してみてください。
バスタブジンの名前の由来
バスタブジンとは「浴槽でつくられたジン」のことで、1920年台にアメリカで密造されていたジンを指します。
禁酒法が始まっていた当時、密造業者たちは自宅の浴槽でボタニカルを漬け込んでジンをつくっていました。
そのエピソードにヒントを得たのが、このエイブルフォースのバスタブジンです。
「既存のジンでは物足りない」と感じていた創業者たちは、かつての「バスタブジン」からインスピレーションを得て、大胆な味わいのジンを2011年にリリースしました。
バスタブジンの製法
バスタブジンのユニークな製法について、3つのトピックに分けて紹介します。
- 浸漬後は再蒸留しない
- ボタニカルは6種使用する
- ボトルは手作業で包装する
浸漬は再蒸留しない（コンパウンドジン）
バスタブジンは、独自の製法でつくられているコンパウンドジンです。
まず、ポットスチルで高品質なベーススピリッツを蒸留し、その後に厳選されたボタニカルを7日間かけてじっくりと漬け込みます。
一般的なジンは浸漬後に再蒸留を行いますが、バスタブジンはかつての密造酒からインスピレーションを受け、あえて再蒸留を行っていません。
このように再蒸留しないジンはコンパウンドジンと呼ばれ、ボタニカルのフレッシュかつ濃厚な風味とオイリーな口当たりが特徴です。
ボタニカルは6種使用する
バスタブジンには、厳選された6種のボタニカルが使用されています。
- ジュニパーベリー
- オレンジピール
- コリアンダー
- カッシア
- クローブ
- カルダモン
それぞれの素材の特徴を活かしながら、絶妙なブレンドで深い香りを引き出しています。
それぞれのボタニカルの特徴については、こちらの記事も参考にしてみてください。
ボトルは手作業で包装する
バスタブジンの全てのボトルは、イギリスのケント州にある拠点で一本一本手作業で仕上げられています。
まず、ブラウンペーパー（クラフト紙）でボトルを包装。
その後に紐を巻き、最後に封ろう（ワックス）で封をしていて、全工程をハンドクラフトで行っています。
まむ手作業すごい～。
どこか懐かしさを感じるレトロなデザインで、バスタブジンのこだわりと歴史が伝わってくるようなボトルです。
バスタブジンの受賞歴
バスタブジンは品質の高さが世界的に評価されており、これまで40以上の賞を獲得しています。
「International Wine & Spirit Competition」と「World Gin Awards」の2つのコンペティションの受賞歴を、抜粋して紹介します。
▼International Wine & Spirit Competition（IWSC）
・2012年 ジン・コンテンポラリースタイル部門 金賞
・2013年 ジン・コンテンポラリースタイル部門 金賞
・2015年 ジン・コンテンポラリースタイル部門 最高金賞
・2019年 ジン・コンテンポラリースタイル部門 銀賞
・2022年 ジン・コンテンポラリースタイル部門 銀賞
▼World Gin Awards
・2014年 ベスト・コンパウンドジン賞
・2017年 コンパウンドジン部門 金賞
・2019年 コンパウンドジン部門 金賞
・2019年 コンテンポラリージン部門 銀賞
・2020年 ベスト・コンパウンドジン賞
・2021年 コンテンポラリージン部門 銀賞
・2021年 コンパウンドジン部門 銀賞
「World Gin Awards」では、2014年・2020年にベスト・コンパウンドジン（世界一）に輝いています。
また「International Wine & Spirit Competition」では、2015年に最高金賞を受賞しています。
バスタブジンのラインナップ
バスタブジンのラインナップについて、国内で手に入りやすい3つの銘柄を紹介します。
- バスタブジン
- バスタブジン ネイビーストレングス
- バスタブ スロージン リキュール
バスタブジン
厳選された6種のボタニカルを、ポットスチルで蒸留した高品質のスピリッツに浸漬してつくられるコンバウンドジンです。
濃厚な味わいと優しい甘み、スパイシーさを併せ持つ華やかなジンで、クラシカルなロンドンドライジンとは異なる魅力が詰まっています。
ポチップ
バスタブジン ネイビーストレングス
バスタブジン ネイビーストレングスは、18世紀のイギリス海軍が飲んでいた100プルーフ（アルコール度数57％）にちなんでつくられた、プレミアムジンです。
通常のバスタブジンと同じボタニカル6種を使用していますが、特殊な製法でボタニカルの風味をより強く引き出しています。
「World Gin Awards」では、2016年から3年連続でベストコンパウンドジンに選出されている評価の高いジンです。
ポチップ
バスタブ スロージン リキュール
バスタブ スロージン リキュール は、バスタブジンをベースに高品質なドイツ産スローベリー（プラムの一種）を浸漬してつくられるリキュールです。
色は美しいガーネットで、アーモンドやプラム、ジュニパーベリーの香りが漂い、スローベリーの甘酸っぱさが楽しめます。
スロージンは冷やしてそのまま飲むか、ソーダ割りやトニック割りで爽やかに楽しめる飲みやすいリキュールです。
ポチップ
最後に
ユニークなクラフトジン、バスタブジンを紹介しました。
1920年台の製法からインスピレーションを得て誕生したバスタブジンは、6種のボタニカルを7日間かけて浸漬させる製法と、一本一本手作業で仕上げられるボトルが特徴です。
品質の高さは数々の国際的な賞で評価され、クラシカルなデザインと爽やかな味わいで、多くの人々に親しまれています。
コンパウンドジンらしい濃厚な味わいを、ぜひ一度試してみてください。