「モンキーショルダー」はスコットランドのスペイサイドにある蒸留所の原酒をブレンドした、飲みやすさで人気のブレンデッドモルトウイスキーです。
2003年の誕生から数々の賞を受賞しており、バーテンダーからの評価も高く、初心者からウイスキー通まで幅広い層に支持されています。
カクテルベースとしても注目を集めているこのモンキーショルダーについて、特徴や評価、おすすめの飲み方からラインナップまで詳しく解説します。
- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。
モンキーショルダーとは
ブレンデッドモルトウイスキーであるモンキーショルダーは、飲みやすい味わいと個性的なボトルデザインが特徴です。
製造元のウイリアム・グラント&サンズ社は1887年創業の老舗で、同社が所有する3つの蒸留所(グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィ)の原酒がメインでブレンドされています。
代表銘柄 | Monkey Shoulder |
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原産国 | スコットランド |
種類 | ブレンデッドモルトウイスキー (ヴァッテッドモルトウイスキー) |
製造元 | ウイリアム・グラント&サンズ社 |
リリース年 | 2003年 |
30秒で読める!モンキーショルダーの5つの特徴
「モンキーショルダーのユニークポイントだけ知りたい」という方のために、30秒で読める5つの特徴を紹介します。
- スコットランド産のモルトをブレンドした100%モルトウイスキー
- 「ミキシングのためのウイスキー」がコンセプト
- バーテンダーからの高い評価
- スコッチウイスキーにおける「ブレンデッドモルト」の先駆け
- モンキーショルダー(サルの肩)は、かつてのモルトマンの職業病のこと
モンキーショルダーの味/レビュー
モンキショルダーはオレンジや柑橘の香り、甘いバニラが調和して非常に飲みやすいウイスキーです。
ロックで飲めば甘みが強まり、ややスパイシーさが感じられます。
とにかく飲みやすい!
余韻はすっきりとしていて、カクテルにもぴったりの万人受けするウイスキーといえるでしょう。
モンキショルダーを使ったおすすめのカクテルのレシピは、こちらで紹介しています。
モンキーショルダーの名前の由来・デザイン
モンキーショルダー(Monkey Shoulder)という個性的な名前は、ウイスキーの伝統に対する敬意を込めて付けられました。
ウイスキーの製造工程には、大麦を発芽させるモルティングという工程があります。
かつて、この作業はフロアモルティングと呼ばれる方法で行われ、職人たちは床一面に広げた大麦をショベルで長時間にわたって攪拌していました。
この重労働により、多くの職人が患っていたのが「サルの肩(モンキーショルダー)」と呼ばれる特有の症状です。
肩の痛みや緊張により、腕がサルのように垂れ下がってしまうこの症状は、職人たちの職業病であり代名詞でもありました。
スコッチウイスキー「モンキーショルダー」は、このようなウイスキーづくりの伝統を称える意味を込めて名付けられました。
「サルの肩」は機械化が進んだ現代ではほとんど見られなくなりましたが、その歴史は今もブランド名に刻まれています。
フロアモルティング採用の蒸留所は、現代ではごく少数!
モンキーショルダーの誕生
モンキーショルダーは、世界有数の歴史を持つスコットランドのウイスキーメーカー、ウイリアム・グラント&サンズ社によって2003年に誕生しました。
2000年代初頭、同社はカクテルを通じて、より多くの人々にスコッチウイスキーの魅力を届けることを決意します。
ブレンデッドウイスキーにはグレーンウイスキーを使用するのが一般的だった当時、同社はモルトウイスキーだけをブレンドするという斬新なアプローチを選択。
このアプローチが、スコッチにおける「ブレンデッドモルト」という新しいカテゴリーの確立につながりました。
なお、日本では2000年に「竹鶴ピュアモルト」というブレンデッドモルトがニッカウヰスキーからリリースされています。
異なる蒸留所のモルト原酒をブレンドした製品は、モンキーショルダーの誕生以前から日本に存在していました。
モンキーショルダーの製法と特徴
ここからは、モンキーショルダーの製法と特徴を解説します。
モルト原酒のみをブレンド
モンキーショルダーは、スコットランドのモルト原酒のみをブレンドしてつくられています。
発売当初はスペイサイドのバルヴェニー、グレンフィディック、キニンヴィの3つの蒸留所の原酒をブレンドしてつくられていましたが、現在の構成は公表されていません。
しかしながら、発売当初の3蒸留所の原酒をキーモルトに置き、他のモルト原酒もブレンドしてつくられていると思われます。
ブレンドされたモルト原酒は、ファーストフィルのバーボン樽で最大6ヶ月かけて熟成されます。
キーモルトと思われる3つの蒸留所は、いずれも製造元のウイリアム・グラント&サンズ社が所有しており、次のような特徴があります。
▼グレンフィディック
スペイサイドを代表する蒸留所のひとつで、1963年、世界で初めてシングルモルトウイスキーとして自社製品を販売。
以来約60年にわたり、世界トップシェアを維持し続けています。味わいはレモンや洋ナシなどを思わせるフルーティーな香りとスムースな口当たりが特徴です。
▼バルヴェニー
グレンフィディックの姉妹蒸留所として1892年に創業したバルヴェニーは、現在も伝統的なフロアモルティングを行う数少ない蒸留所のひとつ。
自社の大麦畑を持ち、モルティング・蒸留・熟成までを一貫して行う珍しい製法を守り続けています。
ハチミツの甘みと豊かな香り、存在感の強さが特徴の骨太なウイスキーを製造しています。
▼キニンヴィ
グレンフィディック、バルヴェニーに続いて、ウィリアムグラント&サンズ社が1990年に操業を開始した蒸留所がキニンヴィで、バルヴェニー蒸留所の敷地内に建設されました。
原酒のほとんどはブレンデッドウイスキーに使用されており、シングルモルトとしてのリリースはほとんどなされておらず、幻のウイスキーといわれています。
カクテルに最適な味わいを追及
モンキーショルダーは「100% Malt Whisky Made for Mixing」をコンセプトに掲げ、カクテルベースとしての可能性を追求しています。
オレンジの柑橘の香り、バニラやハチミツのまろやかな風味が特徴のモンキショルダーは、ロックやハイボールだけでなく、カクテルにしても全体のバランスを崩さないよう計算されており、なおかつしっかりと個性を主張します。
さまざまなカクテルベースとして活躍する、稀有なモルトウイスキーといえるでしょう。
モンキーショルダーの評価
モンキーショルダーは2003年以降、数々の世界的な賞受賞しています。
「World Whisky Awards 2007」ではベストブレンデッドモルト賞、さらに「International Wine and Spirits Competition 2015」では優勝に輝くなど、品質の高さが国際的に認められています。
さらに注目したい点は、バーテンダーの評価の高さです。
英国の飲料業界誌「ドリンクス・インターナショナル」が実施した2019年の「Brands Report」では、調査対象となったバーの22%が「最も好んで使用するスコッチウイスキー」としてモンキーショルダーを選び、ジョニーウォーカー(17%)を上回りました。
高評価の理由は、価格設定がブレンデッドウイスキーとシングルモルトの中間で手ごろであること、また、カクテルのベースとして使いやすいことです。
モンキショルダーの”Made for Mixing”のコンセプトはバーテンダーのニーズに合致し、結果として高い評価を得ることとなりました。
モンキーショルダーの飲み方・おすすめカクテル
“Made for Mixing”をコンセプトに生まれたモンキーショルダーは、ロックやソーダ割りはもちろん、さまざまなカクテルベースとして楽しめます。
ここからは、モンキーショルダーを使ったおすすめカクテルとして、自宅でも簡単に作れるレシピ3つを紹介します。
ロックやハイボールに飽きたら、ぜひこちらの飲み方も試してみてください。
- オレンジハイボール
- マミーテーラー
- ホットウイスキートディ
オレンジハイボール
まずおすすめしたいのは、オレンジスライスがたっぷり入ったハイボールです。
オレンジハイボールの作り方
・氷を入れたグラスにモンキショルダーを45mlを注ぎ、軽くステアする
・スライスしたオレンジ3~4枚用意し、軽く搾りつつグラスに詰める
・ソーダを注ぎ、マドラーで軽くステアする
オレンジの香りとモンキーショルダーの甘いバニラ香がマッチした、さっぱり飲める爽やかなハイボールです。
マミーテーラー
マミーテーラーはウイスキーをジンジャーエールで割った、飲みやすい定番カクテルです。
マミーテーラーの作り方
・氷を入れたグラスにモンキショルダーを45ml入れる
・ライム1/4個を搾り入れて、ステアする
・ジンジャーエールを注ぎ、軽くステアする
使うジンジャーエールは辛口がおすすめ!
生姜と刺激とライムの酸味が、モンキショルダーの甘みを引き締めてくれる爽快な飲み心地のカクテルです。
ホットウイスキートディ
ホットウイスキートディは、体も心も温まる寒い季節にぴったりのホットカクテルです。
ホットウイスキートディの作り方
・耐熱グラスにモンキショルダー45mlを入れる
・角砂糖1個を入れる(シュガーシロップでも可)
・熱湯を加えてステアする
※好みでシナモンスティックやグローブ、ハチミツなどを加える
モンキーショルダーの甘い香りが際立ち、ほっと癒される1杯です。
寒い季節のみならず、締めの1杯やナイトキャップとしてもおすすめです。
モンキーショルダーのラインナップ
モンキーショルダーには、スタンダードボトルに加え、異なる個性を持つラインナップが展開されています。
それぞれの特徴を解説します。
モンキーショルダー
スペイサイドモルトをブレンドした、スタンダードボトルです。
洋梨やバニラ、ビターチョコ、ハチミツを思わせる香りと甘さが特徴で、優しい飲み口と親かな余韻が長く続く、スムースな味わいが魅力のブレンデットモルトです。
ギフトにもおすすめ!
モンキーショルダー スモーキーモンキー
ピーテッドモルトとノンピーテッドモルトをスモールバッチでブレンドした、スモーキーなモンキショルダーで、2022年に発売されました。
木の香りや芳醇なバニラ香に程よいピート香が加わった、バランスの良い飲み口のウイスキーです。
モンキーショルダー ゴリラボトル
ゴリラボトルは、通常ボトルの約7倍である4,500mlの特大サイズのモンキーショルダーです。
サルからゴリラに!
中身は通常のモンキーショルダーと同じで、専用のゆりかご型スタンドが付属しています。
最後に
モルトウイスキーだけがブレンドされたモンキーショルダーは、世界の権威ある賞を複数受賞し、バーテンダーから高い評価を得ています。
モンキーショルダーは、ロックやハイボールといったシンプルな飲み方から、カクテルのベースまで幅広い楽しみ方ができる協調性の高いウイスキー。
甘いバニラ香りとまろやかな口当たりは、スコッチウイスキー初心者の方でも飲みやすく感じられるでしょう。
多くの人々に愛されているモンキーショルダーを、是非お好みのスタイルで楽しんでみてください。