ワイルドターキー レアブリードは、ワイルドターキー蒸留所が手がけるバレルプルーフ(加水なし)のバーボンです。
飲みごたえ抜群のワイルドターキーの中でもレアブリードは別格で、樽出しそのままの味わいをダイレクトに楽しめます。
まむ旧ラベル時代から愛飲中!
リニューアルでは、アイコンの七面鳥がどう変わるかも注目ポイント。
今回はレアブリードの味わいや特徴、ワイルドターキーの歴史、そして現行ボトルと旧ボトルのラベルの違いまで詳しく紹介します。
レアブリードに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。


- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
300種類以上のお酒を飲んできた実体験を基に「本当に美味しい!」と感じたお酒を紹介しています。
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ワイルドターキー レアブリードとは


バレルプルーフのレアブリードは、ワイルドターキー蒸留所の偉大なマスターディスティラー、ジミー・ラッセルが手がけた力強い味わいのバーボンです。
ワイルドターキー初のバレルプルーフとして、「レアブリード(稀少な品種)」は1991年に誕生しました。
ワイルドターキーの6年、8年、12年熟成の原酒がブレンドされており、アルコール度数58.4%(変動あり)というパワフルなウイスキー。
瓶詰めの際に一切加水されないため、ワイルドターキーのピュアな魅力が味わえます。
◆ワイルドターキー基本情報◆
| 代表銘柄 | Wild Turkey101 8y |
|---|---|
| 原産国 | アメリカ |
| 種類 | バーボン |
| 蒸留所 | ワイルドターキー蒸留所 |
| 所有者 | カンパリ |
| ブランド創業 | 1942年 |
30秒で読める!ワイルドターキーの5つの特徴
レアブリード紹介の前に、「ワイルドターキー」の5つのユニークポイントを簡単に紹介します。
- 70年以上変わらない伝統的なレシピと、自家培養酵母
- 低度数の蒸留・樽詰めで、原料の風味を最大限に残す製法
- 熟成樽は、焦がしレベル最大値の「アリゲーターチャー」
- 勤続70年超の偉大なマスターディスティラー、ジミー・ラッセル
- ラッセル家3代にわたるバーボンづくり
【レビュー】ワイルドターキー レアブリードの味わい
グラスに注ぐと、すぐに芳醇な香が漂いテンションが上がります。
樽の香り、品の良いバニラ、ほのかなスパイスや煙。



ずーっとかいでいたい!
味わいは、なめらかでフローラルなハチミツ。あわせて黒蜜というか、どっしりした蜜の甘さが感じられます。奥にはカカオ。
穀物の感じもあり、焼き菓子というよりは濃厚でリッチな、蜜がジュワッと染み出るようなしっとりしたパウンドケーキの味わい。
余韻は長く、黒コショウのようなピリッとした後味があります。



少量で大満足、飲みごたえ抜群!
飲み方は、ストレートやロックがおすすめです。
ただ、高度数ならではのアルコールの刺激や辛みもあるので、度数高めのバーボンを飲み慣れていない人はハイボールやハーフロックで飲んでみてください。
旧ボトルと新ボトルの違い






旧々ボトル、旧ボトル、現行ボトル(2025年現在)の写真を並べてみました。
旧々ボトルは自宅保管しているもので、10年くらい前のものだったと思います。
現在のラベルにリニューアルされたのは2024年11月で、「ワイルドターキー」のブランドロゴがレアブリードよりも大きく表示されています。
赤が基調となったのは他銘柄との統一感を出すためで、さらに「バーボンづくりへの情熱」も表現しています。
ワイルドターキーの歴史


ワイルドターキーの前身となった蒸留所から、ブランド創業、そして発展までの歴史を次のトピックに分けて紹介します。
- ルーツはリピー蒸留所
- ワイルドターキーを創設したオースティン・ニコルズ社
- 偉大なマスターディスティラー・ラッセル親子
ルーツはリピー蒸留所
ワイルドターキー蒸留所の前身は、アイルランド移民のリピー家が創業した「リピー蒸留所」です。
1850年代、販売業者として成功したジェームズ・リピーはウイスキーづくりに関心を持ち、小規模な蒸留所をいくつか買収しました。
そして1869年、ジェームズは2人の息子とともにリピー蒸留所(Ripy Distillery/Ripy Brothers Distillery)をケンタッキー州ローレンスバーグの川沿いに建設。
ジェームズは二人の息子、トーマス・B・リピーとジェームズ・P・リピーとともに、家族経営を開始します。
その後もリピー家は、複数の蒸留所を所有してバーボンをつくり続けました。
1893年には、リピー兄弟のバーボンが、シカゴのワールドフェアでケンタッキー州を代表する銘柄に選ばれます。
そして禁酒法時代(1920~1933年)に入り、リピー蒸留所は休止となりました。
禁酒法廃止後はトーマス・B・リピーの息子であるアーネスト・W・リピーが蒸留所を再建し、バーボンづくりを開始。
製造したバーボンを様々な卸売業者に販売し、卸売業者は自社ブランドでバーボンを瓶詰めしました。
後に「ワイルドターキー」をつくったオースティン・ニコルズ社も、こうした卸売業者のひとつでした。
1949年、リピー蒸留所はゴールド兄弟(Gould Brothers Distilling Co.)に買収され、以降はJ.T.S.ブラウン蒸留所という名称で稼働します。
ワイルドターキーを創設したオースティン・ニコルズ社
蒸留所の前身はリピー蒸留所ですが、「ワイルドターキー」というバーボンをつくったのはオースティン・ニコルズ社です。
オースティン・ニコルズ社は、食品・酒類卸商として1855年に創業しました。
1930年代後半〜1940年代には、ケンタッキー州で生産された複数のバーボン原酒を仕入れ、自社ラベルで販売しています。
その原酒のひとつが、リピー家が蒸留したバーボンです。
ワイルドターキーが生まれたのは1942年。そのきっかけとなったのが、七面鳥狩りのエピソードです。
1940年、当時ニコルズ社の幹部だったトーマス・マッカーシーが、七面鳥狩りに出かけました。
リピー家のバーボンを持参したところ、振る舞われた友人たちはその味を絶賛。
その後も「あの”ワイルドターキー”を持って来てほしい」とニックネームで呼ぶようになります。
トーマス・マッカーシーはそのニックネームが気に入り、後のブランド名としました。
七面鳥狩りから2年後の1942年、オースティン・ニコルズ社はワイルドターキーの瓶詰めを開始します。
創業当時は自ら蒸留せず、J.T.S.ブラウン蒸留所(旧リピー蒸留所)から仕入れた原酒をブレンドして、ワイルドターキーをつくっていました。
そして約30年後の1971年、オースティン・ニコルズ社は蒸留所を買収します。
リピー家が建てた蒸留所を「ワイルドターキー蒸留所」に改名し、バーボンの製造を開始しました。
なお、蒸留所とワイルドターキーブランドは1980年にペルノ・リカールに買収されており、2009年から現在はカンパリグループが同ブランドを所有しています。
偉大なマスターディスティラー・ラッセル親子


ワイルドターキーの品質を支えているのが、親子2代にわたるマスターディスティラー、ジミー・ラッセルとエディー・ラッセルです。
ジミー・ラッセルは、在職歴70年を超える現役マスターディスティラーです。



な、な、な、70年!!??
こ1954年、J.T.S.ブラウン蒸留所(旧リピー蒸留所)に採用されたジミー・ラッセルは、蒸留所の床掃除からキャリアをスタートさせました。
初代ディスティラーの息子であるアーネスト・W・リピーと、2代目マスターディスティラーであるビル・ヒューズからバーボンづくりの技術を学び、1967年にマスターディスティラーに就任します。
そして2000年には、ケンタッキー・バーボンの殿堂入りを果たします。
ジミー・ラッセルの息子であるエディー・ラッセルは1981年にワイルドターキーに加わり、父と同様に様々な仕事をこなしながらバーボンづくりを学びました。
やがて父と共に革新的な製品を開発するようになり、2010年にはケンタッキー・バーボンの殿堂入りを果たします。
2015年にはマスターディスティラーとなり、世界で唯一の親子現役マスターディスティラーが誕生しました。


画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000180.000058608.html
現在は祖父と父に続き、アソシエートブレンダーとしてブルース・ラッセルが活躍しており、ラッセル家は3代にわたってワイルドターキーの味わいを守り続けています。
ワイルドターキーの製法
ワイルドターキーには、長年続く伝統的なレシピと製法があります。
ジミー・ラッセルが入社した1954年から、ワイルドターキーの製法は一切変わっていません。
マッシュビル(レシピ)、酵母、樽の焦がしレベルなど、これらの「変わらないこと」がワイルドターキーの個性といえるでしょう。
製法の特徴3つを紹介します。
- マッシュビルと酵母
- 蒸留液の度数は60%~65%
- アリゲーターチャーの熟成樽
マッシュビルと酵母


ワイルドターキーのマッシュビル(レシピ)は、コーン77%、ライ麦12%、大麦麦芽11%の比率です。
使用される穀物はすべて非遺伝子組み換えで、仕込み水にはライムストーンウォーター(石灰岩層の湧水)を使用しています。
酵母は自家培養で、1940年代から受け継がれてきた酵母です。マッシュビルも酵母も、70年以上変わっていないのだそう。



変わらない製法とレシピが、ターキーの個性のひとつ。
蒸留液の度数は60%~65%
ワイルドターキーの製法で最も特徴的なのが、業界標準よりも低いアルコール度数で蒸留し、樽詰め(バレルエントリー)を行うことです。
バーボンの法律では蒸留液の度数は80%以下と規定されており、ワイルドターキーはその上限よりもはるかに低い60〜65%で蒸留します。
理由は、上限に近い高度数で蒸留を行うと穀物由来の風味が失われてしまうからです。
樽詰めの度数も、法律上限の62.5%に対して54〜55%程度という低めの度数に設定されています。
低い度数で蒸留して樽詰めすることで、ボトリング(瓶詰め)の際に加える水を最小限に抑え、樽出し原酒のような豊かな風味を生み出します。



通常、バーボンはボトリング時に加水し、アルコール度数を調整します。
その加水量を抑えるべく、原酒そのものの度数を低くしています。
低い度数で樽詰めをすると、熟成中に失われる量(エンジェルズシェア)が多くなるデメリットがあります。
しかしワイルドターキーは効率よりも品質を優先し、昔ながらのこの製法を守っています。
アリゲーターチャーの熟成樽


ワイルドターキーの深い琥珀色とコクのある味わいを生み出しているのが、アリゲーターチャーと呼ばれる樽です。
バーボンの熟成に使われる樽は、内側を焦がす(チャーを施す)必要があります。
焦がすレベルには1から4まであり、レベルが強いほど樽材の風味が原酒に移りやすくなります。
ワイルドターキーが採用しているのは最も強く焦がすレベルで、樽の内側がワニの皮のようにひび割れることから、アリゲーターチャーとも呼ばれるレベルです。
このアリゲーターチャーは、ワイルドターキーのすべてのバーボンやライウイスキーに採用されています。
液体を詰められた樽は、トタンで覆われた木組みの伝統的な熟成蔵庫に貯蔵されます。
季節の気温差や日中の気温差が大きいケンタッキーでは、樽内の液体は膨張したり縮んだりを繰り返し、呼吸をするように熟成していきます。
ワイルドターキーのバーボン原酒の熟成は最低でも5年で、樽内の液体は長い間をかけて呼吸を繰り返し、木材のエッセンスを十分に取り込んでいきます。
バーボンのラインナップ
ワイルドターキーの代表的なバーボンのラインナップを紹介します。
名称が似ている銘柄でも度数や原酒の熟成年数が異なるので、購入の際はよく確認してみてください。
- ワイルドターキー 8年
- ワイルドターキー
- ワイルドターキー 101
- ワイルドターキー レアブリード
- ワイルドターキー 12年
- ワイルドターキー マスターズキープ ビーコン
ワイルドターキー 8年


- アルコール度数:50.5%
- 構成原酒の熟成:8年以上
ワイルドターキーのフラッグシップボトルで、ブランド誕生以来受け継がれる「101プルーフ(アルコール分50.5%)」「8年の長期熟成」のバーボンです。
ジミー・ラッセルが、昔から変わらない伝統あるレシピでつくり上げた、厳選された原酒を使用した極上の1本です。
バニラやトフィーの濃厚な味わいに、キャラメルやローストナッツ、柑橘類の香り。
高度数由来の力強さと繊細さを併せ持ち、重厚で飲みごたえのある味わいが特徴です。
ストレートやロックで飲めば、そのうま味を存分に味わえるでしょう。
購入するなら1000mlボトルがお得です。
ワイルドターキー スタンダード


- アルコール度数:40%
- 構成原酒の熟成:6年、7年、8年
6年、7年、8年熟成の原酒をブレンドし、アルコール度数を40%に抑えた飲みやすいバーボンです。
バニラ香やカラメル、爽やかなフィニッシュが楽しめ、滑らかな口当たりでカクテルにも最適です。
2024年8月にボトルがリニューアルし、アイコンの七面鳥は中心に描かれています。
ワイルドターキー 8年同様、こちらも1000mlボトルがお得です。
ワイルドターキー 101


- アルコール度数:50.5%
- 構成原酒の熟成:6年、7年、8年
ワイルドターキー101は、バニラやオレンジピールのニュアンスが感じられる豊かな風味が特徴です。
高いアルコール度数の心地よい刺激は、ストレートでもロックでも、カクテルでも楽しめます。
ワイルドターキー 8年よりも構成原酒の熟成年数が若く、ワイルドターキー スタンダードよりもアルコール度数は高めです。
ワイルドターキー レアブリード


- アルコール度数:58.4%(変動あり)
- 構成原酒の熟成:6年、8年、12年
本来行われる加水調整を行わない、バレルプルーフのワイルドターキーです。
初リリースは1991年で、ジミー・ラッセルの手によってつくられました。
ブレンドされているのは6年、8年、12年熟成の原酒で、樽出しのままの本質的な味わいが堪能できます。
アルコール度数は58.4%程度で、樽出しのためリリース年によって度数は多少変動します。
大胆で力強く、濃厚なバニラの甘さが味わえるレアブリードは、ストレートやロックでじっくり飲むのがおすすめです。
ワイルドターキー 12年


- アルコール度数:50.5%
- 構成原酒の熟成:12年以上
アルコール度数は50.5%(101プルーフ)、熟成期間は12年という長熟タイプのワイルドターキーです。
長期熟成は適した環境でしなくては実現しないため、12年という超長期熟成バーボンは稀少です。
ドライフルーツのような凝縮した甘みと香り、口内に一気に広がるスパイシーさが魅力のバーボンです。
ワイルドターキー マスターズキープ ビーコン


- アルコール度数:59%
- 構成原酒の熟成:10年と16年
「ワイルドターキー マスターズキープ」シリーズは、毎年異なるテーマで数量限定でリリースされるプレミアムバーボンです。
2015年にエディー・ラッセルが立ち上げたシリーズで、ワイルドターキーの伝統を守りながらも革新を追求する限定コレクションです。
これまでに「リバイバル(Revival)」「ボヤージュ(Voyage)」「トライアンフ(Triumph)」などがリリースされました。
この「ビーコン(Beacon/灯台・道しるべ)」はシリーズの最新作で、エディー・ラッセルと息子のブルース・ラッセルが共同で手がけたバーボンです。
シリーズ史上最高の118プルーフ(59%)でボトリングされており、マスターズキープはこの第10弾のビーコンでシリーズ完了とされています。
ビーコンにブレンドされているのは、エディーが選んだ16年と、ブルースが選んだ10年の原酒。
エディーの16年熟成の原酒は2007年から2008年にかけて蒸留され、エディーが経験を積んだ拡張以前の蒸留所で製造された最後の原酒のひとつです。
ブルースの10年熟成の原酒は、彼が最初につくったウイスキーのひとつで、祖父ジミー・ラッセルの指導を受けながら、品質検査・発酵・蒸留・熟成までのすべての工程を指揮して作られた原酒です。
ダークフルーツやチェリーの芳醇な香り、ハチミツ、バニラ、トフィーの甘い風味、長い余韻が堪能できる味わい深いバーボンです。
その他のラインナップ
ワイルドターキーのバーボン以外の銘柄を紹介します。
- ワイルドターキー ライ
- ワイルドターキー ライ101
- ワイルドターキー アメリカン ハニー
ワイルドターキー ライ


- アルコール度数:40.5%
- 構成原酒の熟成:4年以上
カクテルベースにも最適な、甘さ控えめのスパイシーなライウイスキーです。
ライ麦比率は51%以上で4~5年熟成の原酒を使用しています。
ワイルドターキー ライ101


- アルコール度数:40.5%
- 構成原酒の熟成:4年以上
ワイルドターキー ライ101は、ワイルドターキー8年や12年と同様、ブランド伝統の101 プルーフ(アルコール度数50.5%)でつくられています。
ワイルドターキー ライ(40.5%)に比べて調整のための加水量が低く、より力強い味わいが楽しめるライウイスキーです。
ワイルドターキー アメリカンハニー


- アルコール度数:35%
アメリカンハニーは、滑らかな口当たりのハチミツ入りのリキュールです。
ジミー・ラッセルによって1976年につくられ、ハチミツの濃厚さや甘い風味、カラメル、オレンジの爽やかな風味が楽しめます。
最後に


ワイルドターキー レアブリードを紹介しました。
レアブリードは、加水せずに樽からそのまま瓶詰めした、力強い味わいのリッチなバーボンです。
飲みごたえは抜群で、1日を締めくくる一杯にもぴったりの味わいです。
伝説のマスターディスティラーが手がけたワイルドターキー レアブリードを、ぜひ一度味試してみてください。









