ロイヤル・ブラックラは「Royal」の称号を得ている「王のためのウイスキー」です。
19世紀に在位していた国王ウィリアム4世のお気に入りとなったこのウイスキーは、蒸留所として初の「王室御用達」の称号を授けられました。
かつては非常に入手しにくいシングルモルトでしたが、1993年にUD社の「花と動物シリーズ」で10年がリリース。
現在はバカルディより「12年」「18年」「21年」などが年間数量限定で販売されています。
ロイヤル・ブラックラの味やロゴに込められた物語、蒸留所の歴史を詳しく解説します。
- 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
- ウイスキーエキスパート所持
ジンやウイスキーを中心に、これまで300種類以上のお酒を飲んできました。実体験をもとに、「本当に美味しい」と思ったお酒を紹介します。
ロイヤル・ブラックラとは
画像:ロイヤル・ブラックラ3品リニューアル新発売 | プレスリリース
ロイヤル・ブラックラは長い歴史を持つ蒸留所でつくられるシングルモルトで、デュワーズのキーモルトの一つとしても有名なウイスキーです。
代表銘柄 | Royal Brackla 12 Years Old |
種類 | スコッチ/シングルモルト |
蒸留所 | ロイヤル・ブラックラ蒸留所 |
製造元 | ジョン・デュワー&サンズ |
所有社 | バカルディ |
30秒で読める!ロイヤル・ブラックラの5つの特徴
「ロイヤル・ブラックラのユニークポイントだけ知りたい」という方のために、30秒で読める5つの特徴を紹介します。
- 200年以上もの長い歴史を持つ蒸留所
- 蒸留所初のロイヤルワラント(王室御用達)
- 蒸留所のある城は、シェイクスピア『マクベス』の舞台
- シェリー樽への強いこだわり
- スコットランド最大級のポットスチル
ロイヤル・ブラックラ12年の評価/レビュー
(ROYAL BRACKLA THE FINISHING TOUCHのプレイベントにて撮影)
ロイヤル・ブラックラ12年はオロロソシェリー樽でフィニッシュされたウイスキーです。
ライチやピーチのフルーティーな香りがあり、味わいはクリーンでドライ。
ダークチョコレートやスパイスの香りもあり、奥行きのあるリッチな味わいです。
香りで「甘そう」と感じたのですが、口に含むと意外とドライ!
加水すると甘みが増す、高級感のあるウイスキー。
アルコール度数は46%で、長く力強い余韻が楽しめます。
ロゴに隠されたストーリー
(ROYAL BRACKLA THE FINISHING TOUCHのプレイベントにて撮影)
ロイヤル・ブラックラ蒸留所は200年以上の歴史を誇る蒸留所で、1833年に英国王室御用達(ロイヤルワラント)の称号を授与され「王のためのウイスキー(The King’s Own Whisky)」と呼ばれています。
その称号を示しているのが、ロゴ中央に描かれた樽の王冠。
さらにウイスキーの原料である大麦の穂と、シェリー樽を象徴するブドウが描かれています。
ロゴ右側は、蒸留所と関わりの深い『マクベス』の物語を表しています。
というのも、ロイヤル・ブラックラ蒸留所は『マクベス』に登場するコーダー城の敷地内にあるからです。
ロゴ右側のレンガ造り建物はコーダー城の城壁を表し、中央にはマクベスがダンカン王を刺した剣のイラスト。
さらに、ダンカン王の赤い流血、魔女の大釜も描かれています。
ロゴの左側は蒸留所のシンボルで、王冠とポットスチル、蒸留所の水源であるコーダー川の波紋、その川に集う鳥のイラストが描かれています。
ロイヤル・ブラックラ蒸留所とは
ロイヤル・ブラックラ蒸留所は、1812年にスコットランド北部のハイランド地方で創業されました。
ネアン近郊にあるコーダー城の敷地内にあり、コーダー城はシェイクスピアの『マクベス』に登場する有名なお城です。
ロイヤル・ブラックラ蒸留所を設立したのはウィリアム・フレイザーという人物で、インドの駐在武官だったフレイザーは引退後に故郷で蒸留所を造りました。
当時は関税が非常に高く、そのため周囲には違法な蒸留所が数多くありました。
ロイヤル・ブラックラはしっかりと税金を納めていたため価格を上げざるを得ず、地元での販売は難しくなってしまいます。
違法蒸留所との競争を避けるため、ブラックラはローランドやロンドンに出荷されるようになり、これが功を奏して当時の英国王ウイリアム4世に気に入られます。
創業から約20年たった1833年、ブラックラは英国王ウィリアム4世から王室御用達の称号を与えられ、「王のためのウイスキー(The King’s Own Whisky)」と呼ばれるようになりました。
蒸留所で称号を得たのは、ロイヤル・ブラックラが初!
20世紀に入るとロイヤル・ブラックラは経営状況が行き詰まり、休止と再開を繰り返します。
オーナー企業が幾度も代わり4度の休止期間を経て、現在はバカルディ社の傘下でオフィシャルボトルをリリースしています。
ロイヤル・ブラックラの製法
(ROYAL BRACKLA THE FINISHING TOUCHのプレイベントにて撮影)
蒸留に使用されているポットスチルはストレートヘッド型で、仕込み水はコーダー川の水です。
スチルのサイズはスコットランドでも最大級で、原酒が胴に触れる面積が広く、そのためエレガントでクリーンなスピリッツが生まれます。
ちなみに小型のアーム短めスチルだと、ヘビーで厚みのある原酒ができます。
蒸留してできあがったスピリッツはアメリカンオーク樽で熟成され、その後シェリー樽で後熟されます。
ロイヤル・ブラックラとシェリーの関係は非常に密接で、12年、18年、21年でそれぞれ異なるシェリー樽が使用されています。
ロイヤル・ブラックラのラインナップ
ロイヤル・ブラックラのラインナップを紹介します。
ロイヤル・ブラックラ 12年
画像:ロイヤル・ブラックラ3品リニューアル新発売 | プレスリリース
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
辛口シェリーのオロロソ樽でフィニッシュさせた、12年熟成のロイヤル・ブラックラです。
シェリー樽由来の果実香、スパイシーさが感じられるラグジュアリーなシングルモルトです。
ロイヤル・ブラックラ 18年
画像:ロイヤル・ブラックラ3品リニューアル新発売 | プレスリリース
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
希少なパロ・コルタド樽でフィニッシュされた18年熟成のロイヤル・ブラックラです。
パロ・コルタドはもともと偶然生まれたシェリーであり、製造プロセスは非常に複雑です。
フィノの繊細さとオロロソのリッチな味わいを併せ持っており、バランスの良いシェリーといえるでしょう。
18年という長期熟成ながらフレッシュな香りとシャープな味わいで、濃いカカオ、ココアパウダーといった苦味を感じる香りも楽しめます。
オロロソ樽の12年とは、味わいは全く異なります!
12年より、個人的には18年のほうが好み。
ロイヤル・ブラックラ 21年
画像:ロイヤル・ブラックラ3品リニューアル新発売 | プレスリリース
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
オロロソ、パロ・コルタド、ペドロヒメネスの3種類の樽でフィニッシュさせた原酒をブレンドしたのが、このロイヤル・ブラックラ21年です。
シナモンや黒糖のような深いコクを感じる香りで、シェリー樽によるリッチな果実感、スパイシーでエレガントな味わいが楽しめます。
2022年のSWSCではダブルゴールドを受賞している評価の高いウイスキーです。
花と動物シリーズ ロイヤル・ブラックラ10年【終売】
アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
1993年にリリースされたロイヤル・ブラックラの10年ものです。
当時ロイヤル・ブラックラを保有していたUD社からリリースされた銘柄で、現在生産は終了しています。
「花と動物シリーズ」とは現ディアジオの前身であるUD社のシリーズ商品で、UD社保有の蒸留所の原酒がシングルモルトとしてリリースされていました。
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最後に
ロイヤル・ブラックラは「王のためのウイスキー」という異名をもつ高貴なシングルモルトです。
蒸留所の歴史は非常に長く、培われた技術とウイスキーにかける情熱が上質なウイスキーを生み出し、現代まで引き継がれてきたのでしょう。
シェリー樽由来の甘い香りとスパイシーな味わい、クリーンな風味がバランス良く楽しめるロイヤル・ブラックラ。
大切な人への贈り物や、自分へのご褒美にぴったりのウイスキーだと思います。
上司や先輩、父の日ギフトにも良さそう!
バランスの良い味わいを楽しみたい方、王の気分を味わいたい方、『マクベス』に思いを馳せたい方、まずは「ロイヤル・ブラックラ12年」から試してみてはいかがでしょうか。
ウイスキーの背後にある、さまざまなストーリーをかみしめて飲むお酒は絶品です。
ぜひ一度、ロイヤル・ブラックラを味わってみて下さい。