ウッドフォードリザーブとは|3回蒸留の魅力と味わい徹底解説!

_ウッドフォードリザーブとは|3回蒸留の魅力と味わい徹底解説!

ウッドフォードリザーブは、ケンタッキー州のウッドフォードリザーブ蒸留所でつくられるスモールバッチバーボンです。

まむ

クリアでスムーズ!珍しい味わいのバーボン。

ポットスチルで3回蒸留された原酒がブレンドされており、他のバーボンとは一味違う風味が魅力です。スムーズでエレガントな味わいのウッドフォードリザーブの特徴や歴史、製法を詳しく紹介します。

この記事を書いた人
まむ
  • 都内オーセンティックバーの元バーテンダー
  • ウイスキーエキスパート所持

300種類以上のお酒を飲んできた実体験を基に「本当に美味しい!」と感じたお酒を紹介しています。

当ブログでは、国内外の公式サイトや関連書籍といった信頼性の高い情報に基づいて記事を作成しています。

目次

ウッドフォードリザーブとは

ウッドフォードリザーブ

ウッドフォードリザーブは、ブラウンフォーマン社がてがけるスモールバッチ(少量生産)バーボンです。

◆ウッドフォードリザーブ基本情報◆

代表銘柄Woodford Reserve
原産国アメリカ
種類バーボン
蒸留所ウッドフォードリザーブ蒸留所
所有者ブラウンフォーマン
国内販売ブラウンフォーマン ジャパン

30秒で読める!ウッドフォードリザーブの5つの特徴

「ウッドフォードリザーブのユニークポイントだけ知りたい」という方のために、30秒で読める5つの特徴を紹介します。

  • ケンタッキーダービーの公式バーボン
  • 蒸留所は1838年創業で、ケンタッキー州でも最古級
  • ジェームズ・クロウ博士が近代的な製法を導入
  • バーボン業界初のポットスチルによる3回蒸留
  • 6日間の超長時間発酵

ウッドフォードリザーブの味わい

ウッドフォードリザーブは、なめらかな口当たりとフレッシュな風味が特徴です。香りは柑橘にバニラ、熟したリンゴ。口当たりは非常になめらかでスムーズです。

まむ

バーボンらしい力強さは残しつつ、スイスイ味わえるようなクリアさが◎。

ストレートやロックでじっくり楽しむか、もしくは少し甘みを加えたカクテルで飲むのがおすすめです。

ミントジュレップで楽しむ

ウッドフォードリザーブといえば、カクテルのミントジュレップ。ウッドフォードリザーブはアメリカのケンタッキーダービーの公式バーボンで、この大会を象徴するカクテルがミントジュレップです。

ケンタッキーダービーとは

ルイヴィル近郊のチャーチルタウンズ競馬場で、毎年5月に開催される競馬の祭典。当日は競馬場内外でミントジュレップが販売され、1日で数万杯も飲まれる。

公式サイトのレシピは専用シロップが必要なので、ここでは一般的な材料で作れるレシピを紹介します。

  • ウッドフォードリザーブ:60ml
  • シュガーシロップ:15ml(砂糖小さじ2で代用可)
  • スペアミントの葉:3枝~
  • ミネラルウォーター:15~30ml(必要に応じて調整)
  • クラッシュアイス:適量

▼ミントジュレップの作り方
①スペアミントとシロップをグラスに入れ、マドラーやスプーンで軽くつぶして香りを引き出す。
②クラッシュドアイスとウッドフォードリザーブを入れ、少量の水を調整しつつ混ぜる。
③最後にミントの葉を飾る。

ウッドフォードリザーブの歴史

ウッドフォードリザーブ蒸留所
出典:https://www.woodfordreserve.com/press-room/distillery-photos/

1838年に建てられた歴史あるウッドフォードリザーブ蒸留所は、現存するアメリカの蒸留所の中で最も古い部類に入ります。その価値が認められ、蒸留所は国が指定する歴史的建造物・史跡(National Historic Landmark) にも登録されています。

蒸留所の起源からブランド誕生までの歴史を紹介します。

  • オールド・オスカー・ペッパー蒸留所の誕生
  • ジェームズ・クロウによる製法の確立
  • ラブロット&グラハム蒸留所
  • ブラウンフォーマン社の買収と閉鎖
  • 蒸留所復活とウッドフォードリザーブの誕生

オールド・オスカー・ペッパー蒸留所の誕生

ウッドフォードリザーブの物語は、ケンタッキー州ウッドフォード郡のベルサイユで始まります。この地で最初に蒸留を開始したのは、バージニアからやってきたエライジャ・ペッパーという人物。

1812年には小さなファームディスティラリー(農場蒸留所)を建て、ウイスキーづくりを始めました。

まむ

この場合のファームディスティラリーとは、農場に併設された蒸留所のこと。農家が収穫した穀物をそのまま蒸留してウイスキーにしています。

ペッパーがこの地を選んだのは、バーボンづくりに欠かせないライムストーンウォーター(鉄分を含まずカルシウムが豊富な石灰岩水)が豊富だからです。

やがて息子のオスカーが蒸留所の拡張に努め、「オールド・オスカー・ペッパー蒸留所」として世間に広く知れ渡りました

ジェームズ・クロウによる製法の確立

1833年、後にバーボン業界に大きな影響を与えた化学者、ジェームズ・クロウ博士がオールド・オスカー・ペッパー蒸留所に雇われました。

ジェームズ・クロウ博士

スコットランド出身で自国でビール醸造とウイスキー蒸留の教育を受け、1820年代に渡米した。ペンシルベニア州フィラデルフィアに住み、その後ケンタッキー州へ。ブルーグラス地方部に移り住む。蒸留の職人として複数の農場蒸留所で働き、その後オールド・オスカー・ペッパー蒸留所に加わった。

クロウはオールド・オスカー・ペッパー蒸留所の設備の設計・改良を担当し、科学的なアプローチを導入しました。ポットスチルによる蒸留や貯蔵庫にスチーム式暖房を設けるなど、従来とは異なる機器と技術を取り入れます。

液体比重計や糖分測定器なども導入し、発酵・蒸留・熟成の各工程を科学的に管理。クロウ博士は、経験頼みでつくられていた従来の製法を、再現性の高い安定した製法に進化させました。

また、彼の功績のひとつがサワーマッシュ製法(Sour Mash Process)の確立です。この製法は、前回製造時の蒸留時の残液を次の仕込みに再利用することで、糖化環境を安定させ、品質の均一化を図る技術です。

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サワーマッシュは、今日のバーボンの基本製法!

クロウ博士は、ウイスキーづくりを科学的手法によって「職人の勘」から、「科学に基づく工程」に変革させました。

ラブロット&グラハム蒸留所

1860年代にオスカー・ペッパーが亡くなり、息子であり3代目のジェームスが蒸留所を引き継ぎます。

所有権の変遷を経て、1878年にはラブロット&グラハム社が蒸留所を買収。フランクフォート出身のジェームス・グラハムと、フランス人のワイン商レオポルド・ラブロットが蒸留所を運営します。ラブロット&グラハム蒸留所(Labrot & Graham Distillery)は禁酒法時代をのぞき、1941年まで断続的に操業しました。

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禁酒法は1920年から1933年に施行されました。

ブラウンフォーマン社の買収と閉鎖

1941年、ラブロット&グラハム蒸留所は事業拡張を進めていたブラウンフォーマン社に買収されます。運営が変わっても良質なバーボンをつくり続けていましたが、1959年に閉鎖されます。その背景には、ブラウンフォーマン社がすでに複数の蒸留拠点を保有していたという事情があります。

同社はアーリータイムズ蒸留所とブラウンフォーマン蒸留所で十分な生産量を確保できていたうえ、さらにジャックダニエルを買収した直後でもありました。1960年代はバーボン需要が減少し、生産が過剰気味だったため、ラブロット&グラハム蒸留所は閉鎖となったのです。

その後、蒸留所内の設備や樽は取り払われ、1971年には近所の農家に土地が売却されます。この農家は蒸留所の建物を解体せずに放置していたため、蒸留所は使われないまま残っている状態が続きました。

この「解体されなかった」という点が、のちの復活の追い風となります

蒸留所復活とウッドフォードリザーブの誕生

農家への売却から約20年後、世間でバーボン人気が再び高まると、ブラウンフォーマン社はラブロット&グラハム蒸留所の復興に踏み出します。再度土地を買い戻し、蒸留所再建計画をスタートさせました。

復興に際し、まずスコットランド・フォーサイス社製の銅製ポットスチルを3基導入。バーボンの主原料であるトウモロコシは焦げ付きやすいため、いずれのスチルも底に独自の工夫が施された特注のスチルです。初留・後留・再留の3つのスチルを用いることで、当時のバーボン業界では前例のなかった3段階蒸留を実現しました。さらに、現在も使われている糸杉製の発酵槽もこの時期に導入されています。

そして1996年、再建されたラブロット&グラハム蒸留所においてウッドフォードリザーブが正式に市場へリリースされました。

ウッドフォードリザーブの製法

樽
出典:https://www.woodfordreserve.com/press-room/distillery-photos/

ウッドフォードリザーブの独特な風味は、原料選びから蒸留まで一貫したこだわりによって生まれます。香味の豊かさを支える、工程や原料の拘りを紹介します。

  • マッシュビル(穀物配合)と仕込み水
  • 6日間の長時間発酵
  • ポットスチルによる3回蒸留

マッシュビル(穀物配合)と仕込み水

ウッドフォードリザーブのマッシュビル(レシピ)は、トウモロコシ72%、ライ麦18%、大麦麦芽10%の比率です。仕込みに使用する水は地下深くからくみ上げている井戸水で、ミネラル豊富な硬水であるライムストーンウォーターをろ過せずに使っています。

6日間の長時間発酵

通常のウイスキーの発酵期間は2〜3日であるのに対し、ウッドフォードリザーブは発酵に6日の期間を設けています。

長時間発酵により豊富なエステル香が生まれ、フルーティな風味がウイスキーに付与されます。時間をかけた発酵によって、ビールやワインを好む人にも受け入れられるような、華やかで果実のような香りが生まれます。

ポットスチルによる3回蒸留

ウッドフォードリザーブ蒸留所のポットスチル
出典:https://www.woodfordreserve.com/press-room/distillery-photos/

通常のアメリカンウイスキーがコラムスチル(連続式蒸留機)を使用するのに対し、ウッドフォードリザーブでは銅製ポットスチル(単式蒸留器)を使用した蒸留も行っています。

スコットランド・フォーサイス社製のスチルを用いた初留・後留・再留の3段階の蒸留は、ウッドフォードリザーブの最大の特徴といえるでしょう。この3回蒸留により、マッシュビルや硬水、長時間発酵によって生まれた風味が余すところなく抽出されます。

ウッドフォードリザーブは、このポットスチルによる原酒と、ブラウンフォーマン蒸留所(ケンタッキー州シブリー)のコラムスチルによって蒸留された原酒をブレンドしてつくられています。

ウッドフォードリザーブのラインナップ

ウッドフォードリザーブの代表的なラインナップを紹介します。

  • ウッドフォードリザーブ
  • ウッドフォードリザーブ ケンタッキーダービーボトル
  • ウッドフォードリザーブ ダブルオーク
  • ウッドフォードリザーブ ライ

ウッドフォードリザーブ

ウッドフォードリザーブ

72%のトウモロコシ、18%のライ麦、10%の大麦麦芽というマッシュビルでつくられた、ウッドフォードリザーブのスタンダードボトルです。

ポットスチルによる3回蒸留と6日間の長時間発酵が生み出す、スムースな口当たりとフルーティで奥行きのある香りが特徴。ストレートやロックはもちろん、ミントジュレップなどのカクテルベースとしても優れた、バランスの取れたバーボンです。

WOODFORD RESERVE(ウッドフォードリザーブ)
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ウッドフォードリザーブ ケンタッキーダービーボトル

ウッドフォードリザーブ ケンタッキーダービー®ボトル 2025
ウッドフォードリザーブ ケンタッキーダービーボトル 2025

ケンタッキーダービーのオフィシャルバーボンであるウッドフォードリザーブが、毎年リリースする記念ボトルです。2025年版には、アーティストのウンベルト・ラヘラによるアートワーク「Carrera Dinamica(ダイナミックレース)」が描かれています。

中身は通常のウッドフォードリザーブと同じですが、ケンタッキーダービーファンやコレクターから注目を集める限定ボトルです。

ウッドフォードリザーブ ダブルオーク

ウッドフォードリザーブ ダブルオーク

2度の樽熟成を経た、リッチで奥行きのある味わいのウッドフォードリザーブです。 通常の熟成を終えた原酒を、深くトーストした後に軽く焦がした2つ目の樽で追加熟成。この追熟により、オーク由来の柔らかく甘い風味を引き出しています。

香りはダークフルーツ、キャラメル、ハチミツ、チョコレート。トーストした豊かなオークの香りも広がります。味わいはバニラ、ダークキャラメル、ヘーゼルナッツ、リンゴ、フルーツ。スタンダードボトルよりも、甘く濃厚な味わいです。

ノーブランド品
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ウッドフォードリザーブ ライ

ウッドフォードリザーブ ライは、マッシュビルの53%がライ麦のライウイスキーです。 ライ麦のスパイシーさに加えて、ペッパー、洋梨やリンゴが香るバランスの取れた味わい。余韻は長く、カクテルベースにもおすすめのウイスキーです。

最後に

ウッドフォードリザーブとカクテル
出典;https://www.woodfordreserve.com/press-room/distillery-photos/

ケンタッキー州最古の蒸留所で造られる、ウッドフォードリザーブを紹介しました。

ポットスチルによる3回蒸留と長時間発酵が生み出す、繊細でエレガントな味わいが特徴のプレミアムバーボンです。200以上のフレーバーノートを持つ複雑な風味は、ストレートやロックはもちろん、ミントジュレップなどのカクテルでも存分に楽しめます。

伝統と革新が融合したウッドフォードリザーブを、ぜひ一度試してみてください。

_ウッドフォードリザーブとは|3回蒸留の魅力と味わい徹底解説!

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