レイクス蒸留所を解説！ウイスキーメーカーズ リザーブ／エディション／ザ ワンの違いとは

イギリス湖水地方に位置するレイクス蒸留所は「ウイスキーメーカーズ リザーブ」「ウイスキーメーカーズ エディション」「ザ ワン」という主に3つの個性的なウイスキーシリーズを展開しています。

複数の受賞歴があり、近年では「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション 2024」において「ウイスキーメーカーズ リザーブ No.6」が最高金賞、「ウイスキーメーカーズ リザーブ No.7」が金賞を獲得。
「World Whiskies Awards 2024」においては、「ウイスキーメーカーズ リザーブ No.7」が金賞を受賞しました。

そんな世界的な評価を得ている、イギリスの蒸留所「レイクス蒸留所」について、特徴や製法、展開しているウイスキーの3つのシリーズの違いを詳しく紹介します。
レイクス蒸留所のウイスキーや、イングリッシュウイスキーに興味のある方はぜひ参考にしてください。

30秒で読める！レイクス蒸留所の5つの特徴

レイクスウイスキーのユニークポイントだけ知りたいという方のために、30秒で読める5つの特徴を紹介します。

• 湖水地方の古い農家を改築した蒸留所で製造
• ワインやコニャックで使われるエレヴァージュ製法を採用
• 96時間の長時間発酵で生まれるフルーティーな味わい
• ノンカラー・ノンチルフィルターにこだわった製法
• ブレンデッド・シングルモルト共に複数の受賞歴

レイクス蒸留所のウイスキーとは

レイクス蒸留所で製造しているウイスキーは大きく3つのシリーズに分けられ、それぞれに特徴があります。
全シリーズ共通で、ノンカラー・ノンチルフィルターが採用されています。

ウイスキーメーカーズ リザーブはレイクス蒸留所の王道スタイルを体現するシングルモルトで、スペイン・ヘレスで厳選されたシェリー樽で熟成されています。
2024年現在、No.7まで展開されていて、蒸留所の進化と歴史を体現するシリーズといえるでしょう。

ウイスキーメーカーズ エディションは、ウイスキーメーカーの創造性と冒険心から生まれた遊び心あふれるシングルモルト。「ギャラクシア」「レスフェーベル」といった名前が付いていて、それぞれのボトルに独自のストーリーがあります。
熟成は、シェリー樽以外にワイン樽やポート樽などさまざまな樽が使用されていて、ウイスキーの可能性が追及されています。

ザ ワンは、レイクス蒸留所でつくられるモルト原酒にスコットランド産のスペイサイド・アイラモルトの原酒を合わせたブレンデッドウイスキー。
名前は「唯一無二」を意味し、さまざまな樽でフィニッシュを施したバリエーション豊かなシリーズです。

レイクス蒸留所の歴史と特徴

レイクス蒸留所が誕生したのは2014年12月で、イギリス北西部の自然豊かな湖水地方に位置しています。
160年以上前の古い農家を改築した蒸留所で、ウイスキーを始めとするさまざまなスピリッツを製造しています。

場所	イギリス
蒸留所	レイクス蒸留所（The Lakes Distillery）
ウイスキー	・The Whiskymaker’s Reserve ・The Whiskymaker’s Editions ・The One Fine Blended Whisky
その他のスピリッツ	・The Lakes Gin ・The Lakes Vodka
輸入元	雄山株式会社
創業者	ポール・カリー
創業年	2014年

レイクス蒸留所は、「東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション2023」において、ベスト・ワールド・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤーの特別賞を受賞しています。

創業者ポール・カリー氏

レイクス蒸留所の創業者は、ポール・カリーという人物です。
彼の父親はシーバスブラザーズのマネージングディレクターを務めたハロルド・カリー氏で、スコットランドのアラン蒸留所の創設者として知られています。

ウイスキーづくりに縁の深いポール・カリー氏は、イングランドで蒸留所に適した場所を探し続け、休暇で湖水地方に訪れた際に160年以上の歴史を持つ元農家の納屋を見つけました。
この納屋が蒸留所として理想的な拠点になると判断したカリー氏は、建物内部を整えて2014年12月に蒸留所をオープン。

オープニングセレモニーにはアン王女も列席し、注目を集めました。

四つ葉のシンボルマーク

レイクス蒸留所のシンボルマークは四つ葉で、これは蒸留所の建物に残された26個の四つ葉型の採光窓がモチーフとなっています。
レイクス蒸留所は自社の象徴的なシンボルとして採用した四つ葉は、ボトルのデザインやラベルに取り入れられています。

レイクス蒸留所の製法

レイクス蒸留所のウイスキーのユニークな製法を紹介します。

• エレヴァージュ製法
• 多様な熟成樽
• 長時間発酵と3種の酵母

エレヴァージュ製法

エレヴァージュとは、本来ワインやコニャックで用いられる製法です。
レイクス蒸留所はこのエレヴァージュ製法をウイスキーづくりに取り入れ、複雑な味わいを生み出しています。

ウイスキーは基本的に1つの樽で最後まで熟成させますが、エレヴァージュ製法は原酒を複数の樽で育てます。
定期的に樽ごとのフレーバーを評価し、その変化に応じて樽から樽に原酒を移すことで多層的な味わいを生み出します。

多様な熟成樽

レイクス蒸留所では熟成にアメリカン、スパニッシュ、フレンチといった異なるタイプのオーク樽を使用しており、そのうち80〜90%がシェリー樽です。

シェリー樽の主な種類はフィノやオロロソ、ペドロヒメネスがつくられた樽。
シェリー樽以外にも、カルバドスやワインの樽なども使用しており、樽の選定にはトースティング（焼き入れ）の程度や温度管理まで細かく確認を行っています。

長時間発酵と3種の酵母

レイクス蒸留所ではウイスキーのもろみを作る際、最大約96時間もの長時間発酵を行っています。
温度を上げて発酵時間を短縮することは技術的に可能であるものの、それでは酵母が生む香味の特徴が変化し深みが失われてしまうため、あえて低温でゆっくりと発酵させているのです。

発酵には3種類の酵母株を組み合わせており、複数の風味の層を作っています。
また、発酵の後半ではワインづくりに用いられるマロラクティック発酵を取り入れており、よりフルーティーな風味を生み出しています。

マロラクティック発酵とは

主にワイン製造に用いられる製法で、酸味を和らげて香味をまろやかにする工程。アルコール発酵の後に行われるのが一般的で、乳酸菌の働きにより複雑で深みのある味わいを生み出す。

「ウイスキーメーカーズ リザーブ」の主なラインナップ

ウイスキーメーカーズ リザーブは、シェリー樽熟成が主体のシングルモルトです。
蒸留所の王道のスタイルを表現するシリーズで、No.1からナンバリングされてリリースされており、近年リリースされた2銘柄を紹介します。

• ウイスキーメーカーズ リザーブ No.7
• ウイスキーメーカーズ リザーブ No.6

ウイスキーメーカーズ リザーブ No.7

ウイスキーメーカーズ リザーブ No.7は2023年9月にリリースされ、熟成に使用されている樽はスパニッシュオーク、アメリカンオーク、オロロソ樽、ペドロヒメネス樽、赤ワイン樽です。

「東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション2024」で金賞、「World Whiskies Awards 2024」でも、イングリッシュシングルモルトウイスキー部門で金賞を受賞しています。

アルコール度数は52％で、高度数から来る力強いリッチな味わいが特徴です。

柑橘、ドライフルーツ、ハチミツといった香り、カカオやスパイスのニュアンスも楽しめます。

ウイスキーメーカーズ リザーブ No.6

ウイスキーメーカーズ リザーブ No.6は2023年4月にリリースされ、熟成に使用されている樽はスパニッシュオーク、アメリカンオーク、オロロソ樽、ペドロヒメネス樽、赤ワイン樽です。

エキゾチックなスパイスとバラの香りに焦点をあててつくられており、オリエンタルな風味が味わえます。
余韻は長く、フィニッシュではスパイスの複雑な香りが楽しめるるシングルモルトです。

「ウイスキーメーカーズ エディション」の主なラインナップ

ウイスキーメーカーズ エディションは、ウイスキーメーカーが自由な発想でつくる限定品です。

それぞれのボトルに独自のストーリーがありラベルのデザインも魅力的で、全20銘柄のうちのおすすめを抜粋して紹介します。

• ギャラクシア
• カイロス
• アイリス
• レスフェーベル

ウイスキーメーカーズ エディション ギャラクシア

ウイスキーメーカーズ エディション ギャラクシアは、エディションシリーズの完結に向けて特別にリリースされたシングルモルトです。

過去にリリースしたそれぞれの銘柄の個性を夜空を彩る星座にたとえ、それらの融合体として完成させたのがギャラクシアです。

「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2024」では、ワールドウイスキーシングルモルトノンエイジ部門で金賞を受賞。
リッチな香りとクリーミーでマヌカハニーのような甘み、余韻には濃厚なチョコレートの風味が続きます。

ウイスキーメーカーズ エディション カイロス

カイロス（Kairos：ギリシャ語で「機会」「好機」「決定的な瞬間」）は、ギリシャの街並みをイメージして作られたシングルモルトです。
夕日が沈む景色、甘ったるい雰囲気を体現しており、スパイシーな味わいやココアパウダーのような粉っぽさが感じられ、黒糖のような甘さも味わえます。

口に含むとハチミツのような強い香り、スパイスやハーブのニュアンスの中、時間が立つと黒糖のような甘みが表れます。

余韻は長く、最後まで濃厚な甘みが楽しめます。

ウイスキーメーカーズ エディション アイリス

アイリス（Iris：アヤメ）は、かつてのレイクス蒸留所のウイスキーメーカー、ダバル・ガンディ氏がつくったシングルモルトです。
「花の草原」を意味する壮大なヒマラヤの町、グルマルグに訪れた際にインスピレーションを得ており、花やトロピカルフルーツを思わせる味わいです。

アメリカンオークとフレンチオークを組み合わせており、バーボン樽・シェリー樽を使用。
もぎたてのフレッシュなリンゴ、熟した洋ナシ、ほのかなバラの香りが感じられるジューシーな味わいです。

アルコール度数は56％と高く、エレガントで華やかな味わいをじっくり楽しめます。

ウイスキーメーカーズ エディション レスフェーベル

レスフェーベル（Resfeber）とは、スウェーデン語で「旅立ち前のワクワク感」を意味します。
新しい冒険への期待と高揚を表現しており、現ウイスキーメーカーのサラ・バージェス氏が着任とほぼ同時期にリリースしました。

熟成樽に使用されているのは赤ワイン樽とクリームシェリー樽で、複雑で個性的な味わい、アップルやアプリコットの柔らかな風味が楽しめます。

ユニークな香りで非常に個性的な味わいが楽しめるシングルモルトで、変わった味わいや香りを楽しみたい方におすすめです。

「ザ ワン」の主なラインナップ

ザ ワン（The One）は「唯一無二」を意味するブレンデッドウイスキーで、レイクス蒸留所でつくられる原酒をキーモルトに、スペイサイドとアイラのモルトがブレンドされています。

さまざまな樽で後熟させているのが特徴で、シリーズの中にはポート樽でフィニッシュしたもの、モスカテルワイン樽やマンサニージャ（シェリー）樽などでフィニッシュしたものなど、多くの銘柄がリリースされています。

今回は、実際に飲んだことのある2銘柄を抜粋して紹介します。

• ザ ワン ファインブレンデッドウイスキー
• ザ ワン シェリーカスクフィニッシュ

ザ ワン ファインブレンデッドウイスキー

ザ ワン ファインブレンデッドウイスキーは、フレーバーの深さを堪能できる高品質のブレンデッドウイスキーです。

「東京ウイスキー＆スピリッツコンペティション2023」で銀賞、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2024」ではワールドウイスキーブレンデッドウイスキー部門で金賞を受賞。
フレッシュなフルーツと甘い蜜、かすかなピートスモークが特徴で、余韻は柔らかく長く続きます。

ノンチルフィルター・ノンカラーで、ナチュラルカラーならではのクリアな色も楽しめます。

ザ ワン シェリーカスクフィニッシュ

ザ ワン シェリーカスクフィニッシュは、オロロソとペドロヒメネスのシェリー樽で後熟させた重厚なブレンデッドウイスキー。

シェリー樽由来のフルーティーさとウッディさがあり、リッチな味わいが堪能できます。

カカオやナッツの風味とあふれる果実味が特徴で、シェリー樽のウイスキーが好きな方に是非おすすめしたいウイスキーです。

レイクス ウイスキー 3本セット

ザ ワンが3種類楽しめるウイスキーコレクションが販売されています。
容量はそれぞれ50mlで、ファインブレンデッドをはじめとするザ ワンを飲み比べて楽しめます。

最後に

レイクス蒸留所のウイスキーは、エレヴァージュ製法による複層的な味わいが特徴のイングリッシュウイスキーです。
代表的な3つのシリーズそれぞれに個性があり、シェリー樽主体の王道スタイル「リザーブ」、遊び心ある限定品「エディション」、複雑な味わいの「ザ ワン」と、好みに合わせて選べます。

レイクスウイスキーは多種多様なので、きっと好きなウイスキーが見つかるでしょう。
新しいウイスキーとの出会いを探している方も、ぜひレイクス蒸留所のウイスキーを試してみてください。